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小学校は、人間が成長していく過程で、子供から少年へと成長し、人格を形成していく最も重要な時期である。子供一人一人の成長にも個人差があり、小学校教員にはそれに対応した教育が求められている。小学校教員を養成する場合、学生にこのような資質能力を身に付けさせることが必要である。
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小学校教員を養成するために、教科専門科目としてどのようなことを教授すべきかについては、免許法において具体的に定められているわけではない。したがって、各大学でその内容を研究し、構成していかなければならない。例えば「理科」を考えた場合、物理学、化学、生物学、地学をそれぞれ区々に教授するのではなく、大学の教員が協力して「小学校理科」という大学レベルの科目を構築していくことが求められる。
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小学校教員養成のための教科専門科目の在り方については、従来から様々な議論があるが、小学校における教育の特性を考えると、何をいかに教えるかという小学校における教育の充実のため、教科専門と教科教育の分野を結びつけた新たな分野を構築していくことが考えられる。従来から、その必要性が指摘されながら両者の連携が必ずしも十分ではなかったという実態があるが、その在り方を研究するのは、教員養成学部をおいて他にはなく、教員養成学部が独自性を発揮していくためにも率先して取り組まなければならない分野であり、これまで以上に関係者の連携協力を図り、それを構築していくことが教員養成学部の特色の発揮につながっていくと考えられる。
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現在、小学校教員免許を取得する学生のほとんどがいわゆるピーク制(全教科にわたって広く履修するとともに、特定の教科あるいは分野について深く専門的に学ぶこと)によって履修している。その理由としては、
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学生の側に特定の分野を深めたいという専門志向が強いこと
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学生の帰属を分散させることで、責任ある指導体制が確保できること
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などがあげられる。また、教員への就職の必要性から多くの学生が小学校と中学校教員の免許を併せて取得しており、中学校の教科を選択することによって自動的にピーク制につながっているという実態がある。
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今までのピーク制をみると、前述のように併せて取得しようとする中学校の教科がピークになっているのが実状である。そのようなカリキュラムの設定も否定されるべきではないが、小学校教員養成の独自性の発揮を考えた場合、例えば情報教育や環境教育、国際理解教育、カウンセリング・マインドに関する分野などをピークとして構築していくことも考えられる。
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小学校教員養成にとって、教科専門科目をどのように編成していくかは重要な課題である。特に平成10年の免許法の改正により、それまで小学校教員養成に必要な教科専門科目が「9教科各2単位、計18単位」であったものが、「1教科以上8単位」となった。このことにより、各大学においてピーク制の在り方も含め、小学校教員養成のためのカリキュラムの在り方を検討していくことが今まで以上に重要となっている。
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(中学校教員養成の場合)