Up (3) 博士課程の在り方  


平成8年度に設置された東京学芸大学及び兵庫教育大学を基幹大学とする連合大学院方式の博士課程は、特に教科専門や教科教育の分野の教員の養成を目的として設置されたものである。これらの分野の後継者を他学部に頼るのではなく、教員養成学部自らが養成し、教員養成学部が独自の専門性を確立していくために、重要な役割を持つものである。

この博士課程の在り方については、教員養成に深く関わる教育学や教職専門科目担当教員の育成に当たっている非教員養成系の教育学部の博士課程の在り方との関連においても検討されるべきものであるが、「教員養成学部にふさわしい教員の確保」のため、日本教育大学協会等関係者において現状のレビューを行うなど、改善のための取組が必要である。

なお、この博士課程の修了者の就職状況は必ずしも順調ではない。その理由としては、一般的に大学の教員は博士課程を修了してすぐ採用されるものでもないこと、修了者が出て間もない状態であり、この博士課程で養成した人材の評価が定まっていないこと、教員養成課程の5千人削減等により、大学の教員の採用数が減少する時期と重なったことなどが考えられるほか、その教育研究内容や指導体制等が必ずしも設置の趣旨に沿ったものになっていないのではないかとの指摘もある。今後、修了者の中から教員養成学部の教員として就職する者が増えていくことが望まれるとともに、その需給動向等によっては博士課程の増設についても検討されることが適当である。
また、博士課程の指導体制の強化や特色の発揮のため、必要に応じ参加大学を拡大していくことも考えられる。