○ |
現在、学校現場には早急に取り組まなければならない様々な課題があり、教員養成学部には、その専門性に立って、これらの課題への積極的な取組や学校現場で必要とされる優れた教員の養成がますます求められている。他方で、教員養成課程の入学定員の減少が、日常の教育研究活動や大学・学部の運営に様々な問題を投げかけている。
|
○ |
教員組織についていえば、義務教育諸学校の教員養成に必要な教員組織を編成すると、ほとんど余裕のない定員規模の大学が多く、そのような学部では新たな教育課題に対応するための教育研究体制を組むことが困難な状況にある。
|
○ |
また、今まで詳しく述べてきたように、各大学・学部において教員養成の在り方についてのコンセンサスを得て、それを踏まえた体系的なカリキュラムを編成していくことが求められている。
|
○ |
現在、ほとんどの教員養成学部に新課程が設置され、一定の評価を受けている一方、教員養成学部自体の性格が揺らいできている。新課程は独自の目的と教育課程を持ちながら、ほとんどの教員は教員養成課程と兼ねて担当している状況である。
|
○ |
このような状況を考えると、現在の教員養成学部のままにしておくことは、教員養成という本来の目的をあいまいなものにするばかりでなく、長期的にみた場合、教員養成学部の発展が望めず、その活力が次第に失われていくことが懸念される。
|
○ |
したがって、教員養成学部が、今後様々な教育課題に積極的に取り組むことが可能となるよう、1学部当たりの教員組織を充実するとともに、教員養成学部に置かれている目的の異なる課程が、それぞれの特色を発揮できるようにしていくことが求められる。
|
○ |
また、交通網の発達等による、県域を越えた流動性の高まりや、情報通信技術の発展に伴う遠隔教育の導入・普及などにより、教員養成を現状のように、すべての都道府県において行うことの必要性は薄れつつある。
|
○ |
このような背景を総合的に勘案すれば、教員養成学部を小規模なまま各都道府県
に置くのではなく、この際、1都道府県1教員養成学部の体制を見直し、学生数や教員数がある程度の規模となるよう再編・統合を行うことによって、個々の学部の組織の充実強化を図るとともに、教員養成に特化し、活力ある教員養成専門の教育研究機関として、その特色や機能を十分に発揮できるよう体制を整えていくことが必要である。
|