Up (3) 再編・統合後の基本的な枠組み  


沿革の項で述べたように、現在教員養成学部は教員養成にとどまらず、幅広い機能を併せ持っているのが実状である。

再編・統合後の基本的な枠組みとしては、教員養成課程の1万人体制の中で、教員養成課程を担当する大学(以下「教員養成担当大学」という。)と教員養成学部がなくなる大学(以下「一般大学」という。)とで、これまで担ってきた役割を分担し、それぞれの大学が個性や特色を発揮していけるようにすることを基本とすべきである。

それを前提とした上で、再編・統合した場合の各大学・学部の基本的な枠組みを、上記Aの形態をもとに整理すると次のようになる。

教員養成担当大学の学部の機能
・ 教員養成の専門学部としての独自性を高め、教員養成に徹するため、再編・統合して置かれる教員養成学部には、原則として教員養成課程のみを置き、新課程は置かないものとすることが適当である。
・ 教員養成課程の入学定員は、再編・統合前の関係大学の教員養成課程の入学定員の合計数以内とすることが考えられる。
・ 教員養成担当大学に置かれていた新課程については、必要に応じ、一般大学の充実に資するよう再編成し、そのために必要な教員を振り替えることとなる。
なお、前記氈|2−(5)−Dの類型のうち、教員の職務に密接に関連する分野については、修得単位数が過大とならないよう留意しつつ、そのカリキュラムを教員養成課程に取り込むことや、学校教育に関連する分野については、特に必要があると認められる場合は、教員養成課程とは別の課程として設置することも考えられる。
・ 再編・統合後の教員養成学部では、幼稚園から中学校(必要に応じ高等学校)までの各学校種、各教科の教員免許の取得が可能となるようにすることが適当である。
・ 教員養成担当大学は一般大学と協力し、教員養成学部がなくなる都道府県を含め、養成・採用・研修の各段階において教育委員会との連携を図りつつ、様々な工夫を凝らし、その体制を整備する必要がある。
・ 教員養成担当大学には、今後の我が国の教員養成を支える大学として、教員養成の在り方やそれを実現していくための組織体制、カリキュラムの編成等について格段の努力や不断の見直しが求められる。


教員養成担当大学の大学院の機能
・ 学校教育専攻、教科教育専攻(中学校10教科)を置くほか、必要に応じて新たな教育課題に対応するための専攻を設置することが考えられる。
・ 学部段階で取得できる教員免許に接続する専修免許状の取得が可能となるようにする必要がある。
・ 再編・統合により教員養成学部がなくなる都道府県の現職教員も視野に入れ、カリキュラム開発を含め、現職教員の受け入れ体制の整備を図る必要がある。
・ 教員養成学部の大学院における通信教育の適否を含め、その在り方を検討する必要がある。


一般大学の機能
・ 教員養成学部を置かないこととなる大学にあっては、当該大学及び教員養成担当大学の新課程のこれまでの実績等を踏まえ、それらを継承・発展させ、例えば新しい時代に求められる教養教育を担当する組織や地域の求める人材養成を行う組織の設置、あるいは学内既存組織の充実に充てることについて検討する必要がある。
・ 一般大学の教員については、一部を教員養成担当大学に振り替え、一部を上記新組織や学内既存組織の充実に充てることが考えられる。
・ 当該大学における教員免許状取得あるいは現職教員の再教育や地域の教育委員会との連携等のために必要な場合には、教員養成担当大学とも協力し、例えば教職センター(仮称)などの組織を、過大な規模にならないよう留意しながら、整備することも考えられる。


現職教員の再教育への対応
・ できるだけ現職教員の学修の機会の確保に努めることとし、特に教員養成学部がなくなる都道府県においては、教員養成担当大学のサテライト教室の開設や遠隔教育の充実等体制の整備を図っていくことが必要である。
・ 教員養成担当大学と一般大学は協力して、関係都道府県と協議しつつ、修士課程における教育に限らず、免許法に基づく認定講習の実施など様々な面で現職教員の再教育への適切な支援を行っていくことが必要である。