Up (1) 大学・学部の研究への協力  


附属学校は大学・学部に附属するものであり、大学・学部における教育に関する研究への協力がなされなければ、附属学校としての役割を果たしているとは言い難い。大学・学部側、附属学校側のいずれも附属学校は大学・学部の一部であるという認識を持ち、大学・学部が責任を持ってその在り方を考え、その方向性に沿って運営されていくことが必要である。

附属学校が率先して進めている研究開発等の取組についても、多くは大学・学部の研究方針に基づくものではなく、附属学校が独自の立場から取り組んでいるものがほとんどである。附属学校における研究開発自体は大いに推進されるべきものであるが、それが大学・学部の関与がなく附属学校だけの方針によってなされている限りにおいては、附属学校としての目的からみて問題なしとはしない。

「学部における教育に関する研究に協力」という目的が達成されるためには、大学・学部の教員の研究がより学校現場や子どもたちに目を向けたものとなることが不可欠である。そのような研究に取り組めば、研究を推進する場として自ずと附属学校が活用されてくるはずである。

大学・学部の研究に附属学校が協力するという目的を達成していくためには、大学・学部や附属学校の教員個人同士の問題としてではなく、大学・学部側と附属学校側との間で組織として取り組むことが必要である。

具体的には、例えば次のようなことが考えられる。
・ 大学・学部と附属学校が連携して、附属学校を活用する具体的な研究計画を立て、それを実践していくこと。
・ 大学・学部の教員の意識がより附属学校に向き、一体感が培われるようにするため、大学・学部の教員が一定期間附属学校で授業を担当したり、行事に参加したりするようなシステムを構築すること。
・ 附属学校を大学・学部の教員のファカルティ・ディベロップメントの場として、積極的に活用すること。
・ 大学・学部と附属学校との連携を深めるとともに、大学・学部における教育研究の中に学校現場の実践的な取組を反映させるため、附属学校の教員を大学・学部の非常勤講師などに積極的に登用していくこと。

大学・学部の教員が研究の実践の場として附属学校を活用することにより、子どもたちが大学・学部の研究の一端に直接触れることは、子どもたちの知的好奇心に大きな刺激を与える効果もあると考えられる。このようなことは、一般的に公立学校においては困難な面があり、大学・学部の教員の研究に組織的に協力することにより、教育の改善が図られ、附属学校側にも大きなメリットがあると考えられる。

附属学校である限り、「大学・学部における教育に関する研究に協力」するという目的は非教員養成大学・学部の附属学校においても求められることである。大学・学部から独立し、独自の運営をしていくことを求めるのであれば、「附属学校」であり続ける必然性はないと考えられる。