Up 専門数学学習の成果となるものを知らない 作成: 2009-01-21
更新: 2008-01-21


    学生は,おおかた,専門数学の学習に失敗する。 ──裏返して言えば,専門数学担当教員は,おおかた,授業に失敗する。
    学習の失敗の理由は「学習の仕方がわかっていない」であり,授業の失敗の理由は「授業の仕方がわかっていない」である。

    専門数学の学習に失敗した者は,専門数学学習の成果を得られなかった者である。
    学校教員養成課程の学生の場合,専門数学学習の成果は,<専門数学を学校数学に表現する能力>。
    実際,専門数学と学校数学の関係は,つぎのようになる:


    専門数学の学習に失敗した学生は,この<専門数学を学校数学に表現する能力>を持たないまま以後の生活 (特に教職) を過ごすことになる者である。


    しかし,<専門数学を学校数学に表現する能力>は,これを持つ者が認識できる。 未だ持たない者には理解できない。
    そして,ここが「専門数学軽視」の問題の要点になるのであるが,未だ持たない者は,専門数学と学校数学の関係をつぎのようにとらえる傾向がある:


    このモデルでは,学校数学は専門数学から独立している。
    そしてまた,未だ持たない者は,自分は学校数学を卒業していると思っている。 ──「自分は算数の試験に満点をとれる。中学・高校の数学の試験も,数学の内容をちゃんと思い出せば,並みの生徒よりいい点数がとれる。

    こうして,専門数学の学習に失敗した学生は,専門数学の学習を無用にする者になっている。


    専門数学の学習を無用としている者に対しては,専門数学学習軽視の注意は効かない。
    専門数学学習の軽視は,注意して直るのではない。 専門数学学習の成果としての<専門数学を学校数学に表現する能力>を陶冶することに成功するのみである。