Up 制度変更を,おもいつきでやる 作成: 2009-09-11
更新: 2009-09-11


    本日 (2009-09-11) の読売新聞のトップ記事は,「新司法試験 合格3割切る」である。

    法曹人口拡大が必要の認識から司法試験合格者を増やそうということになり,2004年に法科大学院制度が発足した。法科大学院修了者の7〜8割の合格を見込んだのだが,見事に外れてしまったわけである。

    どうしてこうなるのか?
    「教育は甘くない」の認識が,無いのである。

    「市場原理がはたらけば,みなよくなる」「民ならよい」のムードは,株式会社大学や社会人大学講師を持ち上げるものになった。この現象のもとにあるのも,「教育は甘くない」の認識の無さである。
    実際,「教育は甘くない」を知らない者は,教育を才覚の問題に見なす。 「大学はベンチャー企業のようだと良くなる」「ベンチャー企業の成功者みたいのが大学講師になれば,授業は良くなる」──こんなふうに思う。


    教育のフィールドは,徹頭徹尾,学問である。 学問の前には,みなただの赤ん坊になる。 カラダも,少しずつつくられる。
    大学にしても,大学を大学にしているのは大学の空気である。大学の建物に教員を入れただけでは,大学にならない。
    新制度で始めた大学には,まだ大学の空気がない。 大学の空気は,長い時間をかけてつくられる。

    これらのことが,素人にはわからない。
    そして,本来わかっていなければならないはずの大学人も,「改革」の音頭には簡単に乗ってしまう。 教育を甘く考えて,制度変更をおもいつきでやり出す。
    国立教員養成系大学の「法人化」の状況は,これである。