Up 人力の無駄遣いと本務の質低下 作成: 2010-06-25
更新: 2010-06-25


    「法人化」で,国立大学は交付金を削減される。 国立大学は,不足した経費の穴埋めをするために,プロジェクトの概算要求をする。
    プロジェクトは,業務が目的ではなく,概算要求で獲得した額 (A) と支出の額 (B) の差 (A−B) を利潤 (C) として得ることが目的である。 この利潤を,大学の収入とする。
    このとき,税金からCが大学に渡ればよいところを税金からAを大学に遣わせたわけであるから,AーC (=B) が税金の無駄遣いということになる。

    しかも,ここにさらに,人力の無駄遣いが起こる。
    そしてこれには,本務の質低下が随う。

    実際,経費を獲得したら,「プロジェクト実施」をつくらねばならない。
    この作業のために,動員をかける。
    この動員は,人力の無駄遣いである。
    なぜなら,プロジェクトは業務が目的ではなく利益を出すことが目的であり,ためにするものであり,教育・研究の本務としては必要のないものである。 必要のない業務に人を動員すれば,それは「人力の無駄遣い」である。
    そして,この必要のないことをするために,本務の方を削ることになる。
    組織の中での人力の無駄遣いは,本務の質低下と直接連動する。