Up | 核弾頭の直撃破壊で起こること | 作成: 2023-08-09 更新: 2023-08-14 |
そう思われている。 しかし,それは本当か? 核弾頭の直撃破壊成功は, 「やったー」になるのか? ひとは,核弾頭の直撃破壊の後のストーリーを聞かされない。 そのストーリーは,個々勝手に想像することになる。 そして,個々勝手とはいえ,「バラバラになった破片が地上に落ちてくる」くらいのことばにしかならない。 核ミサイルというものを,そもそもひとは知らないからである。 核ミサイルを飛ばす側は,「敵の迎撃ミサイルに 中てられてしまったときのことも,当然考えることになる。 核弾頭の爆発は,つぎのプロセスになる: 「起爆」の内容は,簡単に言うと,《臨界に満たない状態に措いた核分裂物質を,グッと圧縮して,超臨界状態にする》である。 「超臨界」は,核分裂が超連鎖する状態。 このとき発生するエネルギーを一気に開放すれば,「爆発」になる。 これが原爆。 そして,核分裂で発生するエネルギーは核融合に使い,核融合で発生するエネルギーを一気に開放して「爆発」とするのが,水爆である。 ここで,信管に迎撃ミサイルレーダセンサーをつなげてみる,というのはどうだろう。 命中がほぼ必至かと見えたところで,起爆信号を出す。 こうして迎撃ミサイルの直撃破壊が,核爆発のトリガーになる。 日本に飛来の核弾道ミサイルは,近場の国からの発射を想定している。 よって,上層要撃ミサイル (SM-3) による迎撃は,間に合わない。 迎撃は,大気圏突入後要撃ミサイル (PAC-3) による迎撃ということになる。
PAC-3 の防御範囲は,半径20km。 PAC-3 の命中がトリガーになる核爆発は, 「空中爆発」のカテゴリーになる。 核弾頭はこの時点では鉛直落下になっている。 空中爆発が発射側のもともとの狙いだったら,PAC-3 の命中は意味がないことになる。 発射側の狙いが地表爆発だったとしても,空中爆発にしたことで被害が軽微になるというわけではない。──被害の質・内容が変わるだけのことである。 |