Up 北朝鮮の核ミサイルの場合 : 要旨 作成: 2023-07-28
更新: 2023-07-28


    北朝鮮は,核ミサイルの開発を進めているところである。
    ロフテッド軌道のロケットの打ち上げ実験は,核ミサイルをターゲットに正確に撃ち込むためのものである。

    防衛省は,この打ち上げの度に,ロケットが日本に落下する場合の撃墜オペレーションを,発動していることになる。
    撃墜オペレーションは,始まってから終わるまで 10分ほど。


    しかしこの撃墜オペレーションは,ナンセンスである。
    本物の核ミサイルは,撃墜できるものではないからである。

    「これで撃ち落とす」と称している兵器は, PAC-3 である。
    到達高度は「約20 km」となっている.
    核ミサイルは,1000 km を超える高度から加速をつけて落ちてくる。
    この落下の最後の 20 km のところで,速度がマッハ10 の小さな弾頭に,命中させようというのだ。

    そのうえ,PAC-3 の射程は「約30 km」。
    配備されているのは,現時点で 24地点。
    PAC-3 には,もともと日本をカバーするというコンセプトは無い。


    核ミサイルの論説は,いまは「迎撃」の論調になっている。
    こうなるのは,打ち上げロケットに核が載っていないことがわかっているからである。
    北朝鮮が打ち上げロケットに核をいつでも載せられる段階に至ったら,「迎撃」論はナンセンスになる。
    このときは,ロケットをはじめから核ミサイルと定めることになり,ロケットは打ち上げ前に破壊するものになるからである。
    失敗の可能性のある迎撃は,最初から排除されるのである。

    ロケット打ち上げの動きが認められたところで,打ち上げ施設を攻撃し,破壊する。
    これを,アメリカがする。
    アメリカは,このような「乱暴」をする国である。
    「乱暴」にロジックがつけば,アメリカは「乱暴」に躊躇しない。
    北朝鮮は,アメリカに脅され,ロケットを打ち上げることができなくなる。


    アメリカは,いまは日本が「北朝鮮の核の脅威」で盛り上がるのを良しとする。
    日本が軍備に熱心になることは,アメリカの極東戦略において,良いことだからである。
    そして,兵器が売れる。
    しかし,「北朝鮮の核の脅威」の最終段階は,上に述べた通り,《北朝鮮がアメリカに脅されて,ロケットを打ち上げられなくなる》なのである。