Up 「ロシア ウクライナ侵攻」: 要旨 作成: 2023-08-05
更新: 2023-08-05


    メディアは,ウクライナびいきのスタンスから,ロシアを愚劣なものとして表現する。
    「専門家」は,われ賢げに,ロシアを切って捨てるような論説をする。
    ひとにとってメディア,「専門家」は,これを信ずるというものである。
    こうしてひとは,ロシアの能力/実力を見誤る。


    ロシアは,ウクライナ侵攻を北部侵攻から開始した。
    その先には首都キーウがある。
    この作戦の戦果のベストは,政権がビビって,為されるがままになることである。
    クリミア侵攻では,こうなっった。
    うまくいけば,クリミアのようになってくれる。

    しかし,これはあくまでも「うまくいけば」の話であって,作戦は「陽動作戦」と位置づけるものである。
    即ち,ウクライナが北部にかまけている間に,ウクライナ東部に侵攻する。
    このときの肝心は,時間をかけないで,東部の州をロシアに帰属させることである。
    帰属させる方法は,《住民選挙を仕立て,住民にロシア帰属に賛成の票を投じさせる》である。

    併せて,ザポリージャ原発を押さえる。
    唯一心配せねばならないことは,ウクライナが核を持つこと。
    核を持たないウクライナは,ロシアにとってどうということはない。


    こうしてロシアは,ウクライナ東部をとった。
JIJI.COM「地図で見るウクライナ戦況 〜ロシアのウクライナ侵攻〜」から引用:

    この地図は,ロシアの当初の狙い通りになっている,と見ることになる。
    いま黒海は,ロシアに広く開けている。

    ロシアは,いまは「休戦」を勧める声が各国からあがってくるのを待つだけである。
    現状を休戦ラインにした休戦協定を締結して,支配地域をロシアの領土に既成事実化していく──というわけである。

    知るべし。
    ロシアは,外洋進出にずっと執着している国である。
    執着は,損得度外視である。


    ウクライナは,奪われた領土を取り戻せない。
    ウクライナは陸上戦しかできず,そして陸上戦は膠着状態になるからである。
    ウクライナの反撃は,「1キロメートル進んだ」とか「○○村を奪還した」のようなものにしかならない。

    ウクライナは,空軍力・海軍力を持たない。
    空軍力の兵器の供与をアメリカや NATO 諸国に求めてきているが,持たせてはくれない。
    他の国は,<ロシアを攻撃するウクライナ>への支援はできないと考えるからである。
    ウクライナは,<ロシアに抵抗するウクライナ>に留めねばならないのである。


    ロシアのウクライナ侵攻は,「集団安保」を映す鏡である。

    ひとは,集団は個の力の和になると思う。
    そこで,集団になる。
    <集団の力>は,錯覚である。
    集団は,<集団の力>を幻想し利己的にバラバラに振る舞う個の集団である。
    何かと戦うとなったとき,個がてんでばらばらになり,戦う体勢にならない。

    「宮本武蔵 vs 数百名の吉岡門弟」の決闘で,宮本武蔵が勝つ。
    信じられない話に思え,「数百名」(『小倉碑文』) はだいぶ盛った数だろうと割り引いてしまう。
    しかし,「数百名の吉岡門弟」は,自分が戦うとは思っていないのである。
    よって,一人一人片付けられてしまうことになる。

    NATO は,この「数百名の吉岡門弟」である。
    ロシアのウクライナ侵攻が示すことは,ロシアがこれをよく知っているということである。
    ロシアは,アメリカや NATO 諸国の出方を,最初から見切っていることになる。


    ロシアの()力と外洋への執着を見くびらないこと。
    見くびると,間違う。

      例 : 「北方領土返還」の歴代政権の取り組み。
        特に,プーチンをファーストネームで呼んだからどうなるという話ではない。