Up | 戦争行動 : 要旨 | 作成: 2023-07-28 更新: 2023-07-28 |
これは,善と悪の戦いであり,人類の運命はこの戦いにかかっている。 しかし何かおかしい。 両者が戦うのは,採石場のような空き地なのだ。 お互いすれ違ってよさそうなものだが,なんでわざわざこんなところで会するのか? しかし改めて考えれば,戦争はこれを様式にしている。 暴走族の戦争だったら,河原が定番。 天下分け目の戦いは,関ヶ原だった。 ナポレオンが皇帝のフランスと連合国の戦争は,ワーテルロー。 どれも,構図的には「採石場」と同型。 これは,何を意味しているか。 ひとは,どうすることが戦争なのかを,実は知らないということである。 取りあえず,「決闘」を戦争行為ということにする。 互いに示し合わせて一堂に会し,相手の兵を殺す,となるわけである。 この様式は,機関銃の登場で,ダメになる。 ワーテルローでは,隊列を組み,砲弾や銃弾が飛んでくる中を粛々と前進したが,これは砲弾や銃弾で死ぬ確率を低く見込めたからである。 機関銃だと,これはやれない。 塹壕に籠もって相手とにらみ合うのみ。 接近戦が無くなるので,戦争は結着のつかないものになる。
機関銃を武器にしたら,決闘にならない。 実際,互いが相手から撃たれないように布陣すると,戦争は成立しなくなる。 一方が相手から撃たれないように布陣しても,戦争は成立しなくなる。 この手を使うのが,ゲリラ戦である。 相手は,<敵が見えない/わからない>戦争を戦うことになる。 そしていま,戦争は無人化に進もうとしている。 兵隊がマシンに変わると,戦争はますます,何をすることが戦争なのかわからないものになる。 現状は,人の日常の直接破壊が,戦争になっている。 即ち,生活インフラや目立った建造物に無人機や通常ミサイルを打ち込むのが,いまの戦争である。 しかし迎撃技術が進歩しているので,これは費用対効果比がひどく悪い。 この戦争は,攻撃する側がジリ貧になる戦争である。
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