Up 休戦協定締結型戦争 作成: 2023-08-03
更新: 2023-08-03


    結果的に《侵攻側が休戦協定締結に持ち込む》になる戦争を,休戦協定締結型と呼ぶことにする。

    休戦協定締結型戦争は,休戦ラインを設けて「休戦」する。
    この場合,侵攻された側は,休戦ラインを暫定的なものと受け取る。
    一方,侵攻した側は,休戦ラインを国境に既成事実化していく。
    こうして侵攻側は, 「侵攻」の実を取ることになる。


    応用:ロシアのウクライナ侵攻
    2022-02-24,ロシアがウクライナに侵攻した。
    これに対し,ウクライナは戦争で応じた。
    最初の読みを外したロシアは,戦争を収まる形がロシアに有利な休戦協定の締結となった。
    戦争は,休戦協定締結型になっているのである。
    この戦争を迷惑とする国は,ロシア,ウクライナ両国に戦争を止めるよう働きかけることになる。
    ロシアはこのような国として,トルコと中国を見出す。
    ウクライナが「休戦」の勧めを受けることは,ロシア侵攻のいまの前線が休戦ラインになるということである。
    そして休戦ラインは,ロシアが国境として既成事実化していくことになる。
    国は,どの国も利己的である──自分大事である。
    ポーランドは,「明日はわが身」を考えることになる国であり,ウクライナを支援する。
    しかし,これは重い負担になっていく。
    そしてこの負担に(つい)に音を上げるとき,それは「休戦」を口にし出す時である。
    侵攻された国は,支援国をすっかり信用して掛かると痛い目にあう。
    侵攻された国は,支援されている間に,軍事力を強くしていかねばならない。
    ウクライナは,何世紀も溯る過去の歴史──他国に翻弄されてきた辛酸の歴史──から,このことを学んでいる。
    「休戦」が騙しであることを知っている。
    したがってウクライナの戦争は,休戦協定の締結で終わるにせよ,それはウクライナがロシアを国境の外に押し戻した後のことになる。

2023-06-19 時点の,ロシアが占領している地域 (赤色)
NHK「反転攻勢「1か月」」, 2023-07-05 から引用: