Up 宇宙線量が太陽活動度の表現になる 作成: 2022-01-04
更新: 2022-01-04


    木の年輪で,各年の<炭素12 (ふつうの炭素) に対する炭素14 の量比>を調べる。
    この比は,年ごとに変化することが認められる。
    この変化は,炭素14の生成される量が年によって違うことを示している。

    炭素14 を生成しているものは,地球の大気圏に進入した宇宙線である。
    そこで,<炭素12に対する炭素14 の量比>の変動を,地球の大気圏に進入してくる宇宙線量の変動と読む。
    これにより,宇宙線量の変動が定量的なものになる。

    これをグラフにすると,つぎのようになる:
リケラボ (2021.02.13) から引用

    このグラフに,太陽黒点数の変動のグラフを並べてみる:
リケラボ (2021.02.13) から引用

    二つのグラフは,上下を反転させた格好になっている。
    つまり,宇宙線量と太陽黒点数には,つぎの関係がある:
      黒点数が減る [増える] ときは,宇宙線量が増える [減る] とき


    太陽黒点数は,「太陽活動度」の表現になっている。
    そこで,太陽黒点数と宇宙線量の相関を介して,宇宙線量を「太陽活動度」の表現と見なせる。

    この表現の利点は,有機物や地層・氷床に含まれる宇宙線核種を計測するという方法で,かなり昔の太陽活動まで推定できることである。
    ──黒点数だと,これの記録を溯れるのはガリレオの黒点観測の時代くらいまでということになる。

    例えば,木の年輪に示される<炭素12 に対する炭素14 の量比>を使うと,1000年前まで溯って太陽活動を再現することができる:
宮原 (2014), p.91 から引用