Up 太陽の銀河運行と気温 : 要旨 作成: 2022-01-04
更新: 2022-01-04


    太陽活動の変動は,地球の気温変動を導く。
    その因果関係は,つぎのようになる:
        太陽活動が弱く [強く] なって,太陽磁場が弱く [強く] なる
        ⇒ 地球大気圏に進入する宇宙線の量が増える [減る]
        ⇒ 雲量が増える [減る]
        ⇒ 気温が下がる [上がる]

    ここで, つぎのことに注意しよう:
      「地球大気圏に進入する宇宙線の量が増える [減る]」の契機は,
       太陽活動の変動に限る必要はない。
    即ち,要点は<太陽圏と宇宙線の関係>なのである。
    これまでは,<太陽圏の変化>を問題にしてきたことになる。
    しかし視点はもう一つある。
    <太陽圏の宇宙線環境の変化>を問題にする,という視点である。


    ここで登場するのが,イスラエルの物理学者の Nir Shaviv である。
    彼は,銀河の中を運行する太陽に,<太陽圏の宇宙線環境の変化>を見る:
銀河の中の太陽の位置
NASA から引用


Wikipedia から引用


    <太陽圏の宇宙線環境の変化>をこのスケールで考えるとき,宇宙線量と対応させる気温変動は,億年単位の昔の「氷期」まで射程に入るようになる。
    実際,Shaviv はつぎの図式を導いた (Shaviv (2003), Fig.10, p.64):
. (画像クリックで拡大表示へ)
(A) 銀河の腕を通過
(B) 太陽圏に進入する宇宙線量
(D),(E) 氷期
Myr BP : "million year before present"


    引用文献
     Shaviv, Nir J. (2003) :
      The spiral structure of the Milky Way, cosmic rays, and ice age epochs on Earth.  New Astronomy 8, 2003, pp.39–77