Up 炭素14, ベリリウム10 作成: 2021-12-31
更新: 2021-12-31


    太陽活動の変動は,通過宇宙線量の変動に表現されることになった。
    では,通過宇宙線量の変動はどうやって調べる?

    地球圏に飛び込んで来た宇宙線は,大気中の窒素や酸素の原子核と衝突する。
    ──粒子の大きさを考えたら衝突の確率はすごく低そうだが,大気中の原子が高密度であるので,衝突する。
    衝突は連鎖し,この過程でいろいろな粒子が生成される。
    この中に,<通過宇宙線の痕跡>として使えるものがある。
    炭素14 (14C) とかベリリウム10 (10Be) といった放射性核種である。

    通過宇宙線量が増加すれば,炭素14,ベリリウム10 の量が増える。
    ──正確に言うと,<炭素12 (ふつうの炭素) に対する炭素14の存在比率><ベリリウム9 (ふつうのベリリウム) に対するベリリウム10の存在比率>が大きくなる。
    反対に通過宇宙線量が減少するときは,炭素14の存在比率,ベリリウム10の存在比率が小さくなる。

    そこで,炭素14の存在比率,ベリリウム10の存在比率の変動から,通過宇宙線量の変動が推定できる。

    こうして,太陽活動の変動は,炭素14の存在比率,ベリリウム10の存在比率の変動に表されることになった。