Up コマの物理──角運動量 作成: 2022-04-12
更新: 2023-02-05


    「角運動量」がおさまる物理学は,コマの物理学である。

    コマの運動は,「自転」である。
    英語で言うと, "spin"。

    自転(スピン)は,円運動とは違う。
    固有の運動として考えるものである。


    自転は,半直線の運動に還元される。
    半直線の端点が「自転の支点」というわけである。

      註: 地球の自転の場合は,地球の中心を端点とし北極を通る半直線が,ふつうとられる。


    直進運動に対しては,「速度」を導入した。
    円運動は,微分によって直進運動に表現されるので,直進運動の速度がこれの速度になる。
    同様に,自転運動に対しても「速度」──「自転(スピン)速度」──を考えることにする。

    即ち,自転速度Ωを,支点から無限遠点を見たときの自転の角速度 (ベクトル) ── 右回りか左回りか,単位時間あたり何ラジアンか ──で定義する。
    そして,つぎのようにベクトル表現する:
    1. ベクトルの大きさは,角速度の大きさ
    2. ベクトルの向きは,
支点から無限遠点を見て右回りのとき:

支点から無限遠点を見て左回りのとき:


    自転する半直線に,質点と質量を考える。
    直進運動で質量と速度の積として運動量を定義したように,質量と自転速度の積として自転運動量 (ベクトル) を定義する。

    こうして定義した自転運動量が,「角運動量」である。
    (自転速度が角速度で定義されたので,自転運動量は「角運動量」ということになる!)


    「角運動量」は,自転 (スピン) の運動量である。
    円運動の運動量 (これは微分によって直進運動の運動量に表現される) と混同しないこと。