Up | 象学は「大気大循環」を妄想する | 作成: 2023-01-07 更新: 2023-01-07 |
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ひとは (そして気象学者も) この絵に騙される。 なぜなら,この絵は騙し絵だからである。 赤道から極までは,1万km。 よって,各 "cell" は,南北の幅が 1/3 万km。 一方,対流圏の厚さは,緯度や時季によってずいぶん違ってくるが,11km。 よって,"cell" の南北幅は厚さの 303倍。 紙に喩えると,標準コピー紙の厚さが 0.1 mm。 これの 303倍は,30.3 cm。 厚さと幅のスケールがこんなにも違う空気層で,上の絵のように空気が整然と流れているって? 「おいおい,マジかよ」である。 実際,こんな流れは観測されない。
何処を見ても,「大気循環」みたいな流れは無い。 そしてその流れは,平均しても「大気循環」の絵のようになるものではない。 「大気循環」論は,18, 19世紀の産物である。 衛星画像があり,気象観測の世界ネットワークがある今日では,起こりえない論である。 「まったくどうなっているんだ」であるが,学者も人のうち,こういうものなのである。 ひとは,単純な論を求める。 そして,単純な論を現実のことにする。 よくよく吟味すべし。 科学の時代も,ひとのアタマは宗教である。 |