Up 「コリオリ力=見かけの力」は自家撞着する 作成: 2023-02-05
更新: 2023-02-05


    風は,等圧線に沿うように流れる。
    気象学は,このことをつぎのように説明する:
     「 気圧の高い・低いが有る。
    空気は,気圧の高いところから低いところへ流れ,風となる。
    よって,風は等圧線と直角に流れる。
    しかしここで,進行方向と直角にコリオリ力がはたらく。
    こうして風は,等圧線に沿って流れる格好になる (「地衡風」)。


    気象学は「コリオリ力=見かけの力」の説明に,人工衛星や投げたボールを用いる。
    人工衛星や投げたボールは,地上の動きによって曲がって見えるが,実際は曲がっていない。
    これを,空気の動きも適用する:
      白木 (2022), p.22
    回転する円盤の上でボールを投げる場合を考える。‥‥
    このときのボールの動きは,地球上で見る空気の動きと同じである。
    すなわち,地球表面とともに自転しながら空気の運動を見ると,あたかも地球表面は動かないで,空気の方が進行方向に対して,北半球では右にそれて運動するように見える。
    空気の進む向きが変わるのは,空気の進む方向の直角右側に,見かけの力が働くためである。
    この見かけの力がコリオリ力である。


    ということで,気圧の高いところから低いところへ流れる風の動きは,地上の動きとは関係ない。
    曲がって見えようとも,実際には曲がっていない。
    地上がどう動いていようと,風はつぎのように動いている:

    では,地上の観察者は,どう動くと,風が等圧線に沿って流れているように見えるか?
    そんな動きは存在しない。
    <等圧線に対して垂直>と<等圧線に沿う>は,位相幾何学のレベルでも,変換できないからである。
地上がどう動こうと,左の風の動きが右の動きのように見えることはない


    これは何を示しているか?
    「コリオリ力=見かけの力」は自家撞着するということである。


    気象学は「見かけの力」をつぎのように導入する:
      曲がって見えるのは,観察者が動いているから。
       実際は,曲がっていない。
       曲げる力のように見えているのは,「見かけの力」
    そして,「コリオリ力=運動方向と直角に働く転向力」を,「見かけの力」として導入する。
    その後で,風の動きを「地衡風=等圧線に沿って流れる風」として説明する。
    しかし,「見かけの力」がどんなにがんばっても,「気圧傾度力によって等圧線と直角に流れる風」を「等圧線と沿って流れる風」にすることはできない。


  • 引用文献
    • 白木正規 (2022) :『新 百万人の天気教室 (2訂版)』, 成山堂書店, 2022.
    • 実教出版『地学基礎』(高校教科書), 2022.