Up 気象学は「コリオリ力」の謬説を発信する :
気象予報士試験ガイダンスの Webサイト
作成: 2022-06-22
更新: 2022-07-08


    インターネットは,気象予報士試験ガイダンスのつもりの Webサイトがいっぱいである。
    これらは,「コリオリの力」を解説することになる。
    「コリオリの力」が試験範囲になるからである。

    それらサイトは,試験ガイダンスサイトであるから,気象学が発信する「コリオリ力」をオウム返しするだけである。
    即ち,彼らは「コリオリ力」をつぎのように伝える :
      ステップ1
        A 視点の違い (地上と上空) ⇒ 見かけの動き
        B 回転 (自転) ⇒ 見かけの動きがカーブ
        A+B ⇒ コリオリ力 (見かけの力)
      ステップ2
        自転する地球では、運動する物体に対して進行方向を曲げる力が直角に働いている。 ──これをコリオリの力という。
      ステップ3


    彼らは,ステップ1で「見かけの力」の間違いをやる。
    それからステップ2に飛躍する。
    そして最後のステップ3が,高気圧・低気圧にステップ2を適用しているつもりで,間違った絵を描く,というものである。
    特に低気圧は,うまく適用できなくて,支離滅裂な絵を描く。


    この解説は, 「よくわかる」系の書籍に溯る(註)
    その本の間違った解説を読み,わかったつもりになり,そして自分のサイトで自信満々にその解説の受け売りをする──というわけだ。

    「よくわかる」系の書籍も,気象予報士試験ガイダンスとしてつくられるものであるから,気象庁が発信する説の受け売りである。
    気象学が発信する「コリオリ力」の謬説は,こうして強化される一方となる。


    コリオリの力は見かけの力ではない。
    リアルな力である。
    自転する円板の端から中心に向かって移動すると,円板の回転方向に力を受ける。
    実際,これに抗わないと,倒れてしまう。


    嘘は,思考停止から来る。
    風には様々な要因から力がはたらく。
    この力のうち,地球の自転が原因の力はどんなものか?
    そしてその大きさは?。
    コリオリ力がナンボのものかは,実際に計算してみればわかることである。
    思考停止は習い性であって,これは手作業を敬遠するのである。
    ──自戒すべし。

    風に対する<地球の自転が原因の力>の関与はまったく微々たるものである
    しかるに,現前の「大気力学」は,コリオリ力を振りかざす理論になっている。
    こんなのは,基礎理論にもなっていない。
    「大気力学」は,ただアブストラクト・ナンセンスをやっているのである。
    無視する他ない。

    大気のダイナミクスは,途轍もなく複雑なのである。


    註.  例えば,岩槻秀明『図解入門 最新 気象学のキホンがよ〜くわかる本』(秀和システム, 2017) では:
       「8-6 地球の自転とコリオリ力」, pp.313-315.
    ‥‥ 風に対して直接的に力がはたらいていないのにも関わらず,風向きが曲がったので,風に対して「見かけの力」がはたらいているように見えます。この風向きを変える「見かけ上」の力を,コリオリ力と言います。‥‥‥
    北半球では,地球の自転の影響を受けて,‥‥ 風のベクトルに対して,直角に右向きにコリオリ力がはたらいています。南半球では反対に,風のベクトルに対して直角に,左向きにコリオリ力がはたらきます。

    「風に対して直接的に力がはたらいていない」「見かけ上」は,誤り。