Up 『気象学は「熱エネルギー」を間違う』: はじめに 作成: 2023-02-22
更新: 2023-02-22


    気象学は,雲ができるしくみをつぎのように説く:
      「 暖気A が寒気の中に入ると,膨張する。
    膨張は,周りの空気を押すという仕事である。
    Aはこの仕事を,Aの熱エネルギーの消費によって成す。
    Aは,消費した熱エネルギーの分だけ,温度を下げる。
    温度が下がることは,Aの飽和水蒸気量が減ることである。
    Aのもともとの水蒸気量がこの飽和水蒸気量より大きいとき,その差分が凝結する。
    雲は,こうしてできた水の粒が現すものである。」

    しかし「周りの空気を押す仕事」がなぜ「熱エネルギーの消費によって」なのか?
    気象学は,この問題に思考停止する。
    あるいは,この問題のあることがわからない。


    外が寒いときの窓や壁に現れる水滴は,「周りの空気を押す仕事」をしたからではない。
    単に,冷たくなった窓や壁に,近くの空気が冷やされたということである。
    Aの温度が下がって水蒸気が凝結するのも,「周りの空気を押す仕事」をしたからではなく,単に周りの寒気に冷やされたからである。

    気象学は,物理の概念を荒唐無稽に使うことを,スタイルにしている。
    実際,これは応用学全般に起こりやすいことである。
    きちんと勉強したことのない者同士の集まりは,<きちんと勉強したことがない>に自足し,荒唐無稽をやるようになるのである。


    というわけで,「熱エネルギー」とは何なのかを,ここで改めて押さえることにする。