Up 1m2あたり10トン 作成: 2022-07-27
更新: 2022-07-27


    気象学のテキストには,「大気圧は1m2あたり10トン」のフレーズが必ず出てくる。
    これはどこから来たかというと,歴史的には「トリチェリの実験」:
      「長い柱状容器に水銀を満たし,逆さにして水銀槽に立てると,
       容器の中の水銀の高さが 76cmに」


    この観察事実から,つぎの問題が生じる:
      「高さ76cm の柱の水銀は,なぜ下に落ちないのか?」

    高さ76cm の水銀柱の重さは,底面積を1m2 とすると,つぎの計算により,10332 kg ──およそ10トン──となる:
      水銀の密度:13.595 g/cm3 = 13595 kg/m3
      水銀柱の体積:0.76 [m] × 1 [m2] = 0.76 [m3]
      水銀柱の重さ:13595 [kg/m3] × 0.76 [m3] = 10332 [kg]


    ここで「大気圧が水銀柱を支えている」と考える。
    そしてこの場合,「大気圧 = 10332 kg/m2」となる:
      上の図を,つぎのように書き換える──「パスカルの原理」に出てくるU字型管である:

    とか            

      10トンの水銀柱は上向きの10トンの力で支えられている。
      パスカルの原理により,この上向きの10トン/m2 は,管の右側にも現れる。
      そしてそれは,下向きの10トン/m2 と釣り合っていることになる。
      この下向きの10トン/m2 を, 「大気圧」と考える。