Up 気圧と水圧のモデルの違い──水圧は静水圧平衡モデル 作成: 2022-07-29
更新: 2023-09-07


    気圧と水圧は,異なるモデルを立てることになる。
    気圧モデルは,「空気分子が飛んで来て衝突」。
    そして水圧モデルは,「水分子が密着して圧迫」になる。


    はじめに,雑駁なモデルから。
    水の中に,立方体の区画 A1, A2, A3, ‥‥ を,つぎのように考える:

    A1, の上面には,大気圧 F0 がかかっている。
    A2, の上面には,F0 に A1 の重さを加えた力 F1 がかっている。
    A3, の上面には,F1 に A2 の重さを加えた力 F2 がかっている。
     ‥‥

     註: 設定を水平方向対称にしているので,<力の水平方向成分>は (「相殺」のロジックを以て) 考えなくてよい。

    各 An の水塊は,その内部に水の流れがない状態で形を保っているとしよう。
    これは,つぎのような力の釣り合いが実現されているということである

    横方向の力の大きさは?
    これは縦方向の力の大きさと等しい (圧力の等方性)。
    実際,等しくなければ,An の中で水の流れが生じることになる──圧力の高いところから低いところへ。
    ただし横方向の力の大きさは,An の上面から下面へ Fn−1 から Fn に推移する。


    以上は,離散モデルである。
    これを連続モデルに変える。
    立方体のサイズを →0 にするわけである。

    この結果は,つぎのようになる:
      大気圧を f トン重/m2,水の密度をρ トン/m3 とするとき,
      水深nメートルの一点には,f + ρn トン重/m2 の圧力がかかる。

    大気圧は約10トン重/m2,水の密度は1トン/m3 なので,
      水深nメートル の一点にかかる圧力は,10 + n トン重/m2


    水圧のモデルは,「重力による収縮と圧力勾配による膨張とが釣り合う」である。
    「重力による収縮と圧力勾配による膨張とが釣り合う」は,「静水圧平衡」と呼ばれる。
    また,「重力による収縮と圧力勾配による膨張とが釣り合う」を一般的に考えるときは,これを「静力学平衡」と呼ぶ。