前線発生の構造は,《下降流渦柱と上昇流渦柱が,高緯度側を上にしてそれぞれ左と右に隣り合わせ》である:
そしてこの流れから,寒冷前線と温暖前線がペアで生じる:
気象学は,前線発生にひどくこんがらがった説明をつける:
『気象ハンドブック』, p.122:
気象学は,前線発生を「偏西風」で説明しようとする。
その「偏西風」だが,それは北半球高緯度圏鉛直対流渦束の縁の風現象のことである:
しかし気象学は,主である渦流束を見ず,従の「偏西風」だけにする:
気象学は,対流渦束の縁を, 「偏西風」の名で独自存在にするのである。,
「偏西風」は,気象観測技術が今と比べて貧弱で,鉛直対流渦束を捉えられなかった時代の産物である。
しかし気象学において,「偏西風」はずっと絶対である。
こうして,前線発生も「偏西風」で説明しようとする。
この結果が,上の奇っ怪な解釈というわけである。
- 引用文献
- 朝倉正・他[編]『気象ハンドブック』, 朝倉書店, 1995.
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