Up 前線発生のしくみ 作成: 2023-01-28
更新: 2023-09-11


    前線発生の構造は,《下降流渦柱と上昇流渦柱が,高緯度側を上にしてそれぞれ左と右に隣り合わせ》である:

    このとき,つぎのように空気が動く:

    これは,寒気と暖気のつぎの流れである:

    そしてこの流れから,寒冷前線と温暖前線がペアで生じる:


    気象学は,前線発生にひどくこんがらがった説明をつける:
『気象ハンドブック』, p.122:

    気象学は,前線発生を「偏西風」で説明しようとする。
    その「偏西風」だが,それは北半球高緯度圏鉛直対流渦束の(へり)の風現象のことである:

    しかし気象学は,主である渦流束を見ず,従の「偏西風」だけにする:
    気象学は,対流渦束の縁を, 「偏西風」の名で独自存在にするのである。,

    「偏西風」は,気象観測技術が今と比べて貧弱で,鉛直対流渦束を捉えられなかった時代の産物である。
    しかし気象学において,「偏西風」はずっと絶対である。

    こうして,前線発生も「偏西風」で説明しようとする。
    この結果が,上の奇っ怪な解釈というわけである。


  • 引用文献
    • 朝倉正・他[編]『気象ハンドブック』, 朝倉書店, 1995.