Up 気象学の構築は,ボトムアップとはならない 作成: 2023-09-07
更新: 2023-09-07


    学を行う方法論は,「学を科学にする」──「学を科学的理論体系として実現する」──である。
    このときの理論構築は,「ボトムアップ」を理想とする。
    「ボトムアップ」の見本は,数学である。


    複雑系が探求の対象になる学は,ボトムアップの理論構築は無理である。
    しかし学者は,この無理がわからない。
    「複雑系」は科学の歴史では比較的新しい概念であって,学界の伝統を受け継ぐことだけを必死でやってきた学者は,この概念をもっていない。
    そして,無駄にボトムアップに挑む。

    この結果は?
    学がインチキな論で溢れかえる──である。
    気象学は,この場合である。


    気象学は,いろんな物理学をかき集めて気象学を構築するということをやってきた。
    「いろんな物理学をかき集める」は,「よくわかっていない内容を軽率に当て嵌める」になる。
    そしてこれは,「気象の実際から乖離していく」になる。

    現前の気象学教科書は,「ボイル・シャルルの法則」だとか古典的な熱力学の話から始まる。
    しかしこんなものは,複雑系である気象現象には適用できないのである。