Up 光子伝播 作成: 2023-05-14
更新: 2023-09-16


    (1) 「周囲と同じ温度になる」とは
    物質の温度は,時間経過で,周囲の温度と同じになる。
    このメカニズムは,2つある。

    一つは,「周囲と混じる」。
    物質が周囲と交わり,新たな物質の中に解消する。
    そしてこれは,<励起度がみな同じではない粒子の布置>の新たな平衡状態がつくられるということであり,この平衡状態が新しい物質の温度である。

    もう一つは,周囲と混じわらない場合で,「周囲と光子をやり取りする」。
    このやり取りは,《周囲に出て行く光子量と周囲から入ってくる光子量が同じ》が平衡状態になる。
    そして,平衡状態に至るまで止まない。
    ここで光子はスペクトルであり,そのスペクトルの形が温度を表す。
    よって,光子のやり取りが平衡状態に至るとは,物質の温度が周囲と同じになるということである。


    (2) ミスリーディング用語「熱伝達」
    「熱伝達」のことばは,ミスリーディングである。
    「熱」というものがあるように思わせるからである。

    ひとは,物の温度が上がることを「熱が入ってくる」と読む。
    温度が下がることを,「熱が出ていく」と読む。
    入ったり出たりする物のように,「熱」を想っているわけである。
    しかしそのような物は,無い。

    「熱伝達」の内容は,<光子の出入り>である。
    しかし,光子は「熱」ではない。


    (3) 「熱伝導・熱輻射」とは
    熱力学は,「熱伝達」の2つの形として,「熱伝導・熱輻射」を説く。
    「熱伝導は接触型の熱伝達,熱輻射は遠隔型の熱伝達」というとらえである。

    しかし事実は,この区別は立たない。
    ミクロで見れば,「接触」も「遠隔」だからである。


    (4) 「熱量」とは
    「熱量」は,「熱の量」である。
    「熱の量」の物言いでは,「熱」が量と考えられている。
    そしてその考えている「量」は,「エネルギー」である。
    「熱量」の物言いは,エネルギーの一形態として「熱」を考えているわけである。

    「エネルギー」とは何か?
    「物理学をやる上で便利なもの」である。
    物理学は,「エネルギー保存」を法則にすると,理論を量産できるようになる。

    「エネルギー」は,怪しい概念である。
    怪しい概念なのだが,便利なので怪しさには目をつぶってきた。

    しかし「エネルギー」の怪しさは,「熱」をこれの一形態と定めるとき,覆いきれないものになる。
    「熱」は「物体の温度を上げるエネルギー」とされるのだが,これには「物体の温度が下がることはエネルギーの放出であり,このエネルギーを使って仕事ができる」の含蓄がある。
    しかし,実際はそうはならない。

    「熱エネルギー」は,「エントロピー」の概念を用いて定義される。
    「エントロピー」は,「エントロピー増大則」の「エントロピー」である。
    「エントロピー」を以て定義される熱エネルギーは,仕事エネルギーには変換されないものとなる。

    実際,「熱」を仕事エネルギーとする考えは,つぎの読み違えしているのである:
      「熱い物体が仕事をする」を, 「熱エネルギーが仕事をする」と読む

    「熱量」とは何か?
    答えは,「そんなものは無い」である。