Up 陸氷と海面水位の関係 作成: 20232-08-31
更新: 2023-09-20


    陸氷が増えると,海面水位が下がる。
    陸氷が減ると,海面水位が上がる。
    さて,それはどれほど?
    気象学が提示する数値を使って,これを計算してみよう。

     註: 海氷は,融けても海面水位は変わらない。
    これは中学理科の「浮力」の学習内容^^


    Hartmann (2016), §§1.7,1.8 に,つぎの記述がある:
    • 地球の全水量は,1.35 × 109 km3
    • その 97% が海
    • 海は地表の 71% を覆い,その深さは平均で 3730 m.
    • 陸上の氷 (氷帽・氷河) は,全水量の 2.2%
    • 陸上の氷は,これの 89% が南極で,8.6% がグリーランド

    ここで,つぎの問題を立てる:
      「海面水位の1m(メートル) の変化は,
       陸上の氷と海水の交換量が地球全水量の何%のときか?」

    答えは,0.026 % :
        97 x ( 1 / 3730 ) = 0.026

    またこの交換量は,いまの陸上の氷の 1.2 %:
        ( 0.026 / 2.2 ) x 100 = 1.2
    そこで,例えばいまの陸上の氷が全部 (100%) 融けて海に流れたときの海面水位上昇は,
        1.2 x \( x \) = 100 (%)
    より,
        \( x \) = 83 (m)

    氷期には,海面水位が 100m以上も降下している。
    これは,陸上の氷の量がいまの2倍以上になるということである。

ヴュルム氷期(7万〜18500年前)の2万年前頃の日本列島
海部陽介 (2016), p.12 から引用:
「海面が今より 130m 下がっていた」



  • 引用/参考文献
    • Hartmann, D.L. (2016) : Global Physical Climatology (Sec. Ed.). Elsevier.
    • 海部陽介 (2016) :『日本人はどこから来たのか?』, 文藝春秋, 2016.