Up 「ツバル」レポート 作成: 2021-12-14
更新: 2021-12-14


    ツバル政府は,「沈む国」をこれまでキャンペーンしてきた経緯から,引っ込みがつかなくなっている。

    ツバルは,ツバルの「水没」を,「地球規模の海水準上昇」のせいにしていかねばならない。
    ところが,地球規模の海水準上昇は起こっていない。
    そして,仮に起こっているとしたときは,「増えた海水の分の水はどこから来たのか?」という話になる。

    この問題に関わろうとする者は,イデオロギーの陣営にも,「地球温暖化」をCO2元凶論で唱える学者の陣営にもいない。
    はなから理屈の立たないことだからである。


    幸い,ツバルの不都合は,これを認識する者は触れないように努めているし,そして大衆は「地球温暖化でツバル水没」をこのことばだけで信じてくれている。

    しかし,ツバルから賠償を要求されているオーストラリアは,甘い顔はしていられない。
    甘い顔をすることは,賠償に乗ったことになるからである。
    そのオーストラリアの対応が,"Pacific Country Report : Tuvalu" である。
    2005年から2010年まで,更新版の格好で毎年出された。

    このレポートから,要点となる図を引用してみる。


    先ず,海水準の経年推移 (単位:m):
    この図は, 「ツバルが沈んでいる」そのものを否定していることになる。


    つぎは,1992〜2010 間の海水準変化率 (単位 : mm/年) :
    この図に対しては,「海水準が上昇している地帯は何だ?」となる。
    そして,つぎが図がこの問いに対する答えの一部になる:
1985〜2005 間の熱帯サイクロンの行跡
    サイクロンでは海面が上昇する。
    そこで海水準の平均値は,大きなサイクロンが多数発生した年ほど大きくなる。

    というわけで,ツバルの海水準の変動は,大気圧が要因として考えられてくる。
    そこで,大気圧の経年推移は?となるわけだが,これはつぎのようになっている:
    これに対し,海水準の経年推移は:
    符合はしないが「時間差」の余地もあるので,両者間に相関があるという線は捨てられない。
    (水を持ち上げた力が消えると,水はつぎに上下振動の運動に移行し,そしてこの振動は横波を派生する。)


    そしてつぎが,月毎の水温の経年推移:



    というわけで,ツバルには容赦無い内容になっているが,しかし心配することはない。
    バックについてくれているイデオロギーにとって,これはただ無視すればよいものである。
    イデオロギーとは,本当はどうかは問題にならないものなのである。

    イデオロギーにとって問題はただ一つ,目的を達成できるかどうかである。
    手段は,目的によって正当化される。
    そして,ツバルは手段として機能している。
    そう,大衆はみなツバルの味方なのだから。