Up マスコミは恣意的に「専門家」を利用する 作成: 2023-12-04
更新: 2023-12-04


       NHK, 2023-12-03
    ブラジル北部 “観測史上最悪”干ばつ 60万人以上に深刻な影響
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    ブラジル北西部アマゾナス州の州都マナウスでは、例年8月から10月にかけて雨が少なくなる乾期を迎えますが、ことしは極端に雨が少ない状態が続いています。
    市内を流れるアマゾン川の支流のネグロ川は、水位が一時12メートル台と、1902年の観測開始以降、最も低くなり、この地域の人々の生活を支える水運や観光業などに深刻な影響が出ています。
    市内にあるネグロ川の船着き場では、干ばつの影響で川底が広い範囲で露出し、船が運航できない状況が続いています。
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    専門家「海水温上昇が重なったことが原因か」
    記録的な干ばつは、南米・ペルー沖の赤道付近の海水温度が平年より高くなる「エルニーニョ現象」と大西洋の海水温の上昇が重なったことが主な原因とみられています。
    専門家は地球温暖化がその影響を激化させていると指摘します
    アマゾン環境研究所のパトリシア・ピーニョさんは「気候変動や気温の上昇によって、干ばつなどの被害が広い範囲で重大に、かつ頻繁に起こるようになっている」と話しています。
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    「乾燥化」を何としてでも「地球温暖化」にせねばならないマスコミは,「乾燥化」を「地球温暖化」と言ってくれる「専門家」をさがし,登場させることになる。
    そうすると視聴者は,勝手に,学者全員がこの見解だと思ってくれる。


    マナウス Mnaus は,ここ:
Google Map から引用:
    .
    横方向に流れている茶色い川が,アマゾン川。
    マナウスでアマゾン川に合流している黒い川が,ネグロ Negro 川 (「黒い川」)。


    この度の「1902年の観測開始以降、最も低い」がどのくらいのものなのか,記録を見る:
Espinoza (2021) から引用:
A. shennual water level of Rio Negro at Manaus
    .
     註: ここで赤色のグラフが示す最低水位 (Droughts) は,NHK が用いる「一時的水位」──「水位が一時12メートル台」──ではない。
    一時的な値にならないよう,一定時間の平均をとったものである。
    実際,NHK 以外の報道は, 「13.5 m」を伝えているのが多い。

    2021年は,同じマナウスで洪水があった。
    グラフも,最高・最低の振幅 (Amplitude) の増大傾向を示している。


    メディアは,洪水も干魃も「二酸化炭素排出由来地球温暖化」のせいだとキャンペーンする。
    しかしこの間にブラジルで起こっていることは,森林伐採して農地を拡げていることである。
    森林は,気象変化のバッファになっている。
    雨雲を生み,そして降水を貯める。
    これが無くなると,川の水量の振れ幅が大きくなる。

    そこで,先ず研究すべきは,ネグロ川周辺の植生がどうなっているかなのである。
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    そしてこのときは,北の<地図で茶色の地域>から ネグロ川へと流れてくる ブランコ Branco 川 (「白い川」) も,考えに入れる必要がある。
    その茶色の地域は乾燥山地・サバンナ・農地・都市であり,乾燥のときは降水を横取りし,そして貯水機能が低いので,多雨のときはそれをそのまま流してくるところだからである。
( 画像クリックで拡大表示)
ブランコ川の上流や東側にある細い線の集まりは,耕作地:


    引用文献
     ・.C.Espinoza et al. (2021) :
        The new historical flood of 2021 in the Amazon River compared to major floods of the 21st century: Atmospheric features in the context of the intensification of floods.
    December 2021, Weather and Climate Extremes 35(11):100406