Up | 「猛暑」とは何か | 作成: 2024-07-23 更新: 2024-07-25 |
即ち,熱せられた空気の中にいることが,暑いことだと思っている。 そこで,暑さの程度を知るのに,「気温計」を使う。 月には空気は無いが,温度計を設置すれば,「赤道は,昼が110℃,夜は −170℃」となる。 「暑さ」は空気の温度が高いことではない,というわけである。 そこで,「温度」とは何かという話になる。 ひとは「温度」とは何かを考えることをしないので,「暑さは,熱せられた空気のせい」と短絡してしまうのである。 温度のもとは,電磁波である。 温度は,「電磁波の分布」の現象である。 分布の違いが,温度の違いになる。 人の寒暑の感覚は,体組織が電磁波に感応し,感応の位相を脳が意識に表現しているわけである。 人間の体もまた,温度計である。 ひとはこの温度計を,「気温計」と対応づける。 これが,「寒暑を知る道具として気温計を使う」の構造である。 さて,近年は,夏になると「猛暑」「熱中症に注意」が連日ニュースになる。 そして,これの理由として「地球温暖化」が唱えられる。 「暑さ」とは何かを考えることのない者は,「暑さ」を「地球温暖化」で片付けようとする。 先に,月の昼夜の極端な温度差について触れた。 この温度差を考えるヒントになるものが,地球にもある。 サハラ砂漠 (サハラの砂サバク) である。 そこは,昼夜の温度差が大きい。 その温度は,空気の温度ではない。 実際,「気温計」は,太陽光由来の電磁波を測っている。 ひとは「気温計」が空気の温度を測っていると思っているが,「気温計」はただ温度を測っているのである。 サハラ砂漠の昼夜の温度差が大きいとは,太陽光由来の電磁波の量が昼夜で大きく違うということである。 即ち,昼は空気中の水粒子量が少ないため,日射が散乱されず強い。 そして砂が,その強い日射を反射する。 気温計は,この両方の電磁波に感応して,高温を示す。 夜の太陽光由来の電磁波は,地中から発せられるものがすべてになるが,これは少ない。 植生の豊かな大地だと,日射の電磁波は土壌を温めるという形で,吸収される。そして温まった土壌が放射する電磁波に,夜の「気温計」は感応する。 しかしサハラ砂漠では,日射は反射され,地中は暖まらない。 灼熱の太陽の下の砂漠の表面は焼けつくように熱いが,それは表面だけのことである。 こうして,夏の晴れた1日の「気温」(「気温計」が示す値) の変化は,サハラ砂漠と植生の豊かなところではつぎのように違う: ひとが「地球温暖化」だと思っている/思わされている「猛暑」「熱中症に注意」は,生活空間の「砂漠化」によるものである。 植生を貧困にし,そしてコンクリートとアスファルトで生活空間を固めてしまったために,夏の晴れた日中は,日射とその照り返しの強力な電磁波の中に棲むことになった。 その生活空間の夜間が砂漠ほど温度が大きく下がらないのは,砂漠と比べると日中に電磁波を吸収して温まっているところが多いからである。 また,生活空間を火力・電力で人工的に温めているからである。 ひとは「気温」のことばから,空気の風呂に浸かっているイメージをもつ。 しかし生活空間は,空気の風呂ではなく,電子レンジに喩えられるものである。 ひとは,<生活空間=電子レンジ>のワット数を上げることに,これまでせっせと努めてきた。 その報いが,夏の晴れた日の猛暑というわけである。 「気温」は空気の温度ではない 温度とは何か |