Up | 気象学は「エルニーニョ/ラニーニャ」を間違える | 作成: 2023-09-25 更新: 2023-09-25 |
渦流の風のうねりは,太平洋の表層を攪拌する。 海水は,海面下は冷たい。 大きく攪拌されれば,表面温度が下がる。 ──台風が,これのよい例になる。 そこで,つぎのようになる:
攪拌が平年より小さければ,表面温度が平年より上がる。 いわゆる「エルニーニョ/ラニーニャ」は,これである。 前者がエルニーニョで,後者が,ラニーニャ。 エルニーニョ/ラニーニャは,太平洋および沿岸地域の気候変動の説明によく使われる。 これは,間違いである。 表面温度の上昇・下降は,他の気象要素にフィードバックする。 しかしこれは,表面温度の上昇・下降が気象の原因だということではない。 表面温度の上昇・下降のもとになっているものが,気象の原因としてより直接的なのである。 表面温度の上昇・下降は,海面表層の攪拌によるのであり,そして攪拌は高緯度圏の鉛直対流系からやってくる。 エルニーニョ/ラニーニャを気候変動の説明に使うのは,結果を原因と取り違えるタイプの間違いである。
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