Up AUPQ 500hPa天気図 (AUPQ35 の下図) の解析 作成: 2022-11-26
更新: 2022-12-18


AUPQ 500hPa 天気図

      AIRMANSHIP「AUPQ35 高層天気図」から引用
    等高線の走行を見る
    気圧の谷の前面:天気は悪い。ここに位置する低気圧は発達する。
    気圧の谷の後面:天気は良い。ここに位置する低気圧は消散する。
    等温線の走行を見る
    「等温線の振幅」と「気圧の谷の等高線の振幅」が同じくらい:谷は停滞
    「等温線の振幅」が「気圧の谷の等高線の振幅」より大きい:谷はゆっくり東進
    「等温線の振幅」が「気圧の谷の等高線の振幅」より小さい:谷は停滞、むしろ西進することもある。
    「等温線の振幅」と「気圧の谷の等高線の振幅」が逆位相:谷は速く東進
    風の解析
    南西の風:天気は悪い。ここに位置する低気圧は発達する。
    北西の風:天気は良い。ここに位置する低気圧は消散する。
    台風の進む方向はこの高度の風の方向に対応する。
    冬は500hPaの強風軸北側付近に寒帯ジェットが位置する。
    地上の高気圧・低気圧との対応の確認
    地上天気図にある気圧部が、500hPaでも存在している:背の高い気圧部(温暖高気圧、寒冷低気圧)
    地上天気図にある気圧部が、500hPaでなくなっている:背の低い気圧部(寒冷高気圧、温暖低気圧)
    背の低い気圧部は、500hPaの風の半分の速度で、等高線に平行に進む。
    夏の太平洋高気圧の判定
    おおむねこの高度の5880m等高線が、夏の太平洋高気圧に対応する。
    台風はこの太平洋高気圧の淵に沿って移動することが多い。
    冬の雪の判定
    この高度で、概ね-30℃以下だと降雪が見られ、-35℃程度以下だと大雪が見られるようになる。
    ジェット軸の把握
    ・-25度の等温線が寒帯ジェットの気流を示すことが多い
    ・夏の5820hPaの等高線が亜熱帯ジェット気流を示すことが多い

      HBC「AUPQ35」から引用
    この天気図から上空の「気圧の谷」や「気圧の尾根」の場所やその深まり方などを把握します。
    真冬のHBCの天気予報に登場する「上空の寒気」は、この500hPa の気温をお伝えしています。
    500hPa で氷点下36℃以下 (時期によって変化しますが) に なってくると雪の量が多くなる恐れがあります。
    地上付近に比べて非常に冷たい空気が入り込んでくると、「暖かい空気は上に上がりたい!」、「冷たい空気は下に下がりたい!」と、大気は不安定な状態になってしまいます。するとそこでは活発な対流活動が起こって、モクモクと積乱雲が発生し、冬は大雪、夏は大雨になってしまいます。
    2000年から2001年にかけての冬は,北海道上空に500hPaで氷点下42℃以下という猛烈に冷たい空気が溜まり続けたために、厳しい冷え込みが続きました。

      hikouki-pilot.com「AUPQ35」の見方から引用
    夏:-6℃の寒気と湿潤な大気が揃えば積乱雲が発達しやすい
    冬:-30℃ = 雪、-36℃ = 大雪、-42℃ = 豪雪の目安

      のぶやん「500hpa 天気図の見方を解説」から引用
    500hpaで着目するものは、気圧の谷と呼ばれるトラフ、気圧の尾根と呼ばれるリッジです。
    これらは、等高度線の曲がりが大きい部分で、等圧面の中で空気が周囲より高い部分をつないだのがリッジ(尾根)、空気が低くなっている部分をつないだのがトラフ(谷)です。
     ‥‥
    トラフ (谷) の前面(西谷)では地上の低気圧などのじょう乱が発達して悪天になりやすい。
    偏西風の流れは南西、西南西になっていて、トラフの前面にあたる付近では低気圧が発生・発達しやすくなりますし、南西風により海上から湿った空気が流れ込みますので、雨や曇りの天気となることが多くなります。
     ‥‥
    トラフが東に位置することを、東谷といいます。
    偏西風の流れは北西、西北西になっていて、このときは、上空に寒気が自らの重みで沈み込みながら(沈降昇温)流れ込み、乾燥した下降流を形成するため、雲が消散して晴天となることが多くなります。
    また、東谷の時には、リッジの前面になっていることも多く、じょう乱の発達が抑えられて好天になりやすい。
     ‥‥
    等高度線が南北方向にほとんど変化しないで、トラフやリッジが顕著でないときを東西流とよびます。東西流の場合は、大気の東西方向の流れが速く、天気は短い周期で変化します。
    等高度線に沿った流れをしていることもあり、ゾーナルといったりします。
    逆に南北方向に大きく曲がるときを南北流とよび、メアンダが大きいと言ったりします。
    メアンダ(meander)とは英語で「蛇行する」という意味で、南北流とは偏西風の蛇行が大きい状態です。
    蛇行が大きいということは、トラフが深くなるので、トラフの前面での暖気移流、後面での寒気移流が大きくなるため、トラフの前面では低気圧が発達しやすくなります。
    また、大気の東西方向の流れが遅いため天気の変化が遅くなります。
    また、等高度線5880mをサブハイと言ったりします。太平洋高気圧に対応するといわれています。

      kishounomotoから引用
    ①500hPa強風軸の解析
    500hPa強風軸は、温帯低気圧の閉塞の具合(地上低気圧の中心が強風軸より北側にあれば閉塞)を見るのに使われます。
    500hPa強風軸は300hPa強風軸の南側に位置するので、まず300hPa天気図で強風軸を見つけてから500hPa天気図を見るのが良いと思います。
    それでも見つけにくい場合は、「500hPa高度・渦度解析図」(後述)や水蒸気画像も使うと見つけやすくなります。
    ②500hPaトラフ、リッジの解析
    ‥‥
    ③寒気・暖気の流入
    冬季であれば寒気がどこまで南下しているかを見ることで、大気の安定度などを判断できます。
    次の④とも重なりますが、冬季には5,400m線に注目します。
    これが南岸沿いまで南下していれば、強い寒気が入ることになります。
    夏季であれば太平洋高気圧の目安となる5,880m線に注目し、太平洋高気圧の勢力を見ることができます。
    ④特定高度線の確認
    500hPa面では特定高度線と呼ばれる3本の等高線を追跡することができます。
    これにより偏西風の蛇行の程度や、冬の寒気や夏の暖気の状況を推測することができます。
     
    5400m線(−30℃の等温線におおむね対応する)
      冬の寒気のしきい値
    5700m線(偏西風帯の中心に対応する)
      大気の流れが蛇行しているか東西流か
    5880m線(亜熱帯高気圧の外周に相当する)
      太平洋高気圧の勢力