Up 気象学は高層天気図の読み方を間違う 作成: 2022-12-14
更新: 2023-02-14


    大気は鉛直対流している。
    鉛直対流は,上昇流と下降流の渦柱の束である。
    いまの天気は,この渦柱のいまの様相である。
    そしてこの渦柱の揺らぎが,天気の変化である。

    例えば,前線発生はつぎのようになる ( 前線発生のメカニズム ):
下降流渦柱 (右回り) と上昇流渦柱 (左回り) が,
高緯度側を上にして左と右に隣り合わせ
これから導かれる空気の流れ
そしてこれは,
前線ができる


    一方,気象学はつぎの絵を描く:

    気象学のこの絵は,主従の転倒である。
    偏西風は対流渦束の縁(へり)であり,対流渦柱の間を縫って流れる空気の流れに過ぎない。
    しかし気象学は,《天気の兆候を天気の原因に取り違える》タイプの間違いとして,偏西風を天気の(あるじ)にしてしまうのである。
『気象ハンドブック』, p.122 から引用:


    現前の「高層天気図の読み方」は,気象学のこのスキームに則る。
    それは,偏西風の蛇行にリッジとトラフの絵記号を記し,つぎのように分析する:
<圧縮>は,下方が空気の逃げ場になる → 下降気流
<発散>は,下方から空気を吸い上げる → 上昇気流


    この分析は間違いである。
    繰り返すが,偏西風は対流渦柱の間を縫って流れる空気の流れである。
    気象学が偏西風がつくったと思っている高気圧と低気圧は,既に存在していた下降流渦柱と上昇流渦柱の地上部分である。