Up 「気温変動の現象」とは? 作成: 2022-08-31
更新: 2022-08-31


    ひとは,「地球温暖化」を唱和する。
    彼らは,前例の無い気温上昇がいま進行していると信じている。
    彼らは,「地球温暖化」を「地球の気候変動の歴史」の文脈で考えるということを知らない。

    そして彼らが思う「気温上昇」は,「猛暑に向かう」である。
    彼らは,「気温変動」の中身を考えようとしない。


    地球の気温変動は,百万年くらい前からは,氷期&間氷期の周期変動になっている:
https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Ice Age Temperature.png

    そしていまは,間氷期にあたる。
    これからは,万年単位で,漸進的に氷期に向かうことになる。


    上のグラフで気温変動の振幅が 15°C くらいであることに注目すべし。
    この気温変動の内容は,「猛暑・厳寒」ではない。
    ホモサピエンスは,この程度の気温変化は,<移動>を含めて,ふつうに適応してきた。

    気温変動は,何が劇的な現象になるかというと,氷である。
    気温変動の内容は,「氷結・解氷」なのである。
    氷結か解氷かで,地球は大きく様変わりする。
    <氷結か解氷か>に敏感な場所が,地球には広大に存在するためである。
    実際このことは,氷期と間氷期の平均気温15度の差が海水準の100メートル以上の差を現すという事実によって示される:
ヴュルム氷期(7万〜18500年前)の2万年前頃の日本列島
──「海面が今より 130m 下がっていた」(海部陽介 (2016), p.121, 図5-5)


    つぎの風景は,イギリスの冬のテムズ川も<氷結か解氷か>に敏感な場所であることを示している:
マウンダー極小期 (1660〜1715) のときの氷のテムズ川:
1677

1684


    気象は,水が主役である。
    気象は,「水象」なのである。
    水は,つくづく不思議な物質である。
    この独特な物質によって,地球は独特なものになっている。
    この奇跡をリスペクトすべし。


  • 引用文献
    • 海部陽介 (2016) :『日本人はどこから来たのか?』, 文藝春秋, 2016.