Up 南半球高緯度は寒冷化? 作成: 2022-09-04
更新: 2022-09-04


    ひとは,地球の気温変動グラフは一つに定まるもの (よって唯一) であると思っている。
    そして,マスコミ等が示してくる気温変動グラフをそれだと思っている。
    マスコミ等が示してくる気温変動グラフは,ひとにとって絶対である。
    ひとは,これを鵜呑みにして信じる。

    言い換えると,ひとはマスコミ等が示してくる気温変動グラフに洗脳される。
    ひとが「人為的地球温暖化」を唱和するとき,それは洗脳された脳が唱和しているのである。
    実際ひとは,マスコミ等が示してくる気温変動グラフの他に,「人為的地球温暖化」を唱える根拠を持っていないのだから。


    事実はどうか?
    気温変動グラフは,作り手によって違ってくる。
    「何を生データとし,何をそれに加味し,そして全体をどう処理するか」に対し,こうであるべしというルールは存在しないからである。
    気温変動グラフは,作り手の数だけ存在することになる。


    気温変動グラフの "Uncertainty" を論考したものに,Xu & Powell (2011) がある。
    その中でつぎの図が示されている:

    ここで,横軸は緯度,縦軸は期間 1979-2008 の平均気温偏差。
    折れ線の気温変動グラフは,青色が衛星で採取のデータから作成したもの,緑色がラジオゾンデで採取のデータから作成したもの,そして橙色が解析モデルで作成したもの ("Reanalysis") である。

    この図から生データに近い青色と緑色のグラフを取り出すと:

    データ採取の方法としての衛星とラジオゾンデは,前者の「グローバル」に対し後者に「ローカル」の趣が強くなる。
    そこで衛星データで作成された青色のグラフのみを取り出してみる:

    最初の図の中のグラフがかなりバラバラなのに対し,この図の3つのグラフは互いにだいぶ近くなり,気温変動の傾向をはっきり示唆しているもののように見えてくる。
    実際,もしこのグラフがひとに最初に示される「気温変動のグラフ」だったらどうだろう?
    「南半球高緯度は寒冷化」と受け取る者も出て来そうである。


    ひとは「気温変動グラフ」をわかり切ったもののように思っているが,実際はこのように不確定なのである。
    何事も,簡単にわかったつもりになってはいけない。