Up | 「高層等圧面の傾き」 | 作成: 2022-12-10 更新: 2023-01-29 |
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北緯20度から北緯70度くらいまでの間が,南高北低の気圧模様になっている。 気象学は,空気の流れを「気圧傾度力」で考える:
即ち,「偏西風の空気チューブは気圧の坂の途中に止まったままを保つ」を説明せねならないと思うのである。
気象学が立てる「偏西風の空気チューブは気圧の坂の途中に止まったままを保つ」は,本当は「鉛直対流渦束はその直径を保つ」である。 考えるべきは鉛直対流渦束の平衡である。 しかし,偏西風を「空気チューブ」の独自存在にする気象学は,「坂の途中にとどまらせている平衡」を捻り出そうとする。 気象学のこの思考回路を,しっかり理解しよう。 気象学は,「気圧傾度」をつぎの絵に表す:
この絵は,描く本人が自分で自分を騙すことになってしまう騙し絵である。 「気圧傾度」は,北緯20度から北緯70度くらいまでのことである。 この間の距離は,
これほどの傾斜は,問題になるものではない。 即ち,気象のダイナミクスはこれと比べると圧倒的に大きい。 しかし気象学にとって,「気圧傾度」は偏西風平衡論の要,偏西風を独自存在として立てる絶対的要である。 気象学は,偏西風平衡論をつぎのようにつくる: 気象学が「気圧の坂の途中に偏西風を留める平衡」として思い描くのは,つぎの絵である: 気象学は,「地衡風 (geostophic wind)」の名で,「気圧傾度力とコリオリ力の平衡の実現としての風」の概念を立てる。 気象学の偏西風の位置づけは,「地衡風」である。 |