Up 「空気のチューブ」 作成: 2023-01-24
更新: 2023-01-24


    偏西風は,高緯度圏対流渦束の縁現象である。
    物の縁は,物が無ければ存在しない──それ自体では存在しない。

    しかし気象学は,偏西風をそれ自体で存在しているものにする。
    偏西風の自己充足的 (自己循環的) な説明をつくろうとする。
    そしてこれは,偏西風のイメージを肥大化させる。

    こうして「空気のチューブ (トーラス)」が,気象学が描く偏西風のイメージになる。


    偏西風の寸法を想起しよう。
    それは,「幅10cm,厚さ 0.38 mm の環」に縮尺されるようなものである。

    「トポロジカルには,薄膜の環もトーラスだ!」の理屈は,この場合立たない。
    偏西風は,出入りする流線の群れがマクロで帯状流れに見えるだけであり,流線は束ねられていない。
    そのトポロジーは「トーラス」ではない。