Up 偏西風研究に必要な準備 作成: 2023-01-23
更新: 2023-01-23


    研究は,妄想をたくましくしてしまう。
    研究対象を肥大化させ,別モノにしてしまう。

    こうならないために,準備が必要である。
    以下,偏西風研究に必要な準備を述べる。


    先ず,直径 67 cm の円を描ける紙を用意する。
    そしてこの上に,つぎの地図を直径 67 cm で描く。

    つぎに,厚さ 0.5 mm のトレース紙で,直径 67 cm の円に切り抜いたものを,用意する。
    このトレース紙の断面を正面にして,つぎの寸法で6枚にスライスする:

    そして,スライスした6枚のそれぞれに,つぎのタグを付ける:


    これが,偏西風研究の用具になる。
    これはつぎのように用いる:
    1. 気象庁の高層天気図サイトから,同一時刻の高層天気図をダウンロードする。
    2. 天気図は「‥‥hPa 面天気図」になっている。
      ○ hPa 面天気図を,「○ hPa」のタグを付けたトレース紙に転写する。
    3. 200, 250, 300, 500 hPa のトレース紙で,60kt 等速線を両端にした領域,80kt 等速線を両端にした領域,140kt 等速線を両端にした領域を,この順番に濃度を上げつつ例えば赤紫色に塗る。
      この着色が,偏西風の可視化になる。

    こうして可視化された偏西風は,北極が中心の,幅10cm ほどの蛇行した輪になる。
    厚さは高々 200, 250, 300, 500 hPa トレース紙の厚さを足したものであり, それは厚さ 0.38 mm


    この作業が無理ならば,この作業のイメージをもつ。
    このイメージが肝心なのである。
    (実際,作業は無理であり,また無用である。)

    はじめに述べたが,研究は妄想をたくましくしてしまい,研究対象を別モノにしてしまう。
    気象学の説く「角運動量保存を以て自転し,南北に振動する空気のチューブ」は,この手合いである。
    偏西風を別モノ化しないこと。
    そのためには,先ず偏西風の正しいスケール感をもつことが,肝心になるのである。