Up 「空気塊」のことばに騙される 作成: 2022-07-02
更新: 2022-07-02


    気象学は,「空気塊」の概念を立てる。
    これの意味は,「マクロ的に,外部の空気との混じり合いを無視できる」である。
    「外部の空気との混じり合いが無い」のイメージは,風船の中の空気。

    そしてつぎの絵を描く:
    • 温められる → 膨張する (密度が小さくなる)
        → 外部の空気より軽くなる → 上昇する
    • 冷やされる → 収縮する (密度が大きくなる)
        → 外部の空気より重くなる → 下降する


    しかし空気塊とは,ほんとうにこのように挙動するものなのか?

    そして風船だが,それのふつうの様は,「風に流される」である。
    「温められて上昇・冷やされて下降」ではない。
    空気塊も,「風に流される」というものなのか?


    「風に流される」は,空気塊にはあてはまらない。
    風船の場合は,空気を押しているのではなく,空気を内容物にした固体を押している。
    空気塊は,空気を内容物にした個体ではない。
    「風が空気塊を押して動かす」の絵は,風が押す力が空気塊を保ったまま空気塊の中を伝わるという絵である。
    これはあり得ない。


    風船がメタファになるような「空気塊」の概念は,根本で間違っている。
    「空気塊」と言っているそれは,気体分子の閉じた系ではない。

    「空気塊」は,これを構成する気体分子が絶えず入れ替わっている。
    入れ替わっているが,気体分子の性質・特徴が保たれている。
    「空気塊」は,新陳代謝する系なのである。

    動的だが現象が定常なシステムは,一個の固定した存在に見えてくる。
    「空気塊」は,こういうものである。


    「空気塊」には,気体分子入れ替わりの風が通っている。
    「空気塊」は,がこれの本体である。


    ちなみに風は,自己生成する系である大気の,自己生成の現象である。