Up 人が「大気圧」で押し潰されないわけ 作成: 2022-07-27
更新: 2022-07-27


    気象学は,「大気圧は1m2あたり10トン」と教える。
    気圧モデルは,「大気圧は1m2あたり10トン」をサポートする。

    しかし,「1m2あたり10トン」は,けっこうな力である。
    人はどうして,だいじょうぶなのか?

    ひとはこの疑問を,つぎのような理屈で収めている。
      「体の中の空気圧と釣り合っている」
    しかし,内に空気を含まない柔らかい物体の場合は,どうなるのだろう?

    なんか変である。
    だいいち,われわれは「1m2あたり10トン」みたいな力を少しも感じていないではないか!


    ここでは,最も簡単な答え方を,示す。
    それは,「気圧モデルはひどく偏っている」である。

    キャッチボールでは,グラブを引いてボールをキャッチする。
    これをしないと,手が痛い目に合う。
    木は,強風に対しては,枝をしならせてこれをやり過ごす。
    これをしないと,枝を折られてしまう。

    人の体の組織は,空気分子の衝突を<衝撃>にしないようになっている。
    だから,気圧モデルが示してくるような圧力は,受けないのである。

     註: 「気体分子の運動量の熱量への転換」も理由に加えることができるかも。
    「空気は体を温めてくれる」というわけだ。
    しかし論点を無用に増やさないために,ここではこれには触れないとする。


    「人の体の組織は,空気分子の衝突を<衝撃>にしないようになっている。だから,気圧モデルが示してくるような圧力は,受けない。」
    宇宙服は,これの証左になる。

      田中邦彦 (2013)
    ──現在の宇宙服の医学的な問題点は何だと思われますか?
     可動性が低いのと、減圧症の危険性があるという2つが大きな問題です。
    宇宙には空気がないんですね。そこで空気が入った宇宙服を着ます。すると、外部との気圧差によって宇宙服がパンパンに膨れ上がってしまい、非常に動きにくくなるんです。普段はやわらかい風船が、パンパンに膨らむと容易に曲げられなくなるのと同じです。
    それを解消するために、内部の気圧を0.3気圧(ロシアの宇宙服は0.4気圧)にしていますが、それによって減圧症を起こしてしまうのです。
    ──減圧症とは?
     私たちは主に酸素と窒素を吸っていますよね。国際宇宙ステーション(ISS)の内部は地球と同じ1気圧です。その環境から0.3気圧まで低くなると、血液中の酸素や窒素が血液に溶けきれなくなって、気泡になって浮き出てくるのです。ちょうど、ビールから炭酸の泡が出てくるのと同じです。その気泡が肺や体内細胞に詰まって、命にかかわるのが減圧症です。
    それを防ぐために、船外活動の前に血液中の窒素を少しずつ出します。この「脱窒素」に時間がかかるのが問題なのです。
    スペースシャトルの時代は、脱窒素に12時間以上もかかっていたそうです。最近は脱窒素の方法を改善したことで数時間に短縮されたようですが、それでも、何か船外で問題があった時に、宇宙服を着てぱっと外へ出られないんです。


    宇宙服は,空気を完璧に遮断するように作っているので,内部の空気分子の衝突を<衝撃>としてまともに受ける。よって,パンパンに膨らむ。
    一方,体の組織はゆるゆる。
    空気分子の衝突を緩衝し,また空気分子を通したりするので,外からの空気の衝突によってへこんだり,内からの空気の衝突によって膨らんだり,ということが無い。──膨らんでも,むくみ程度。