Up 自転球体上移動のカオス性 作成: 2022-10-11
更新: 2022-10-11


赤道で北へ発したときの,その後の移動軌跡


北緯20°, 50°, 80° のそれぞれで「東へ」初速 50 m/s で発したときの,その後の移動軌跡

    このグラフは,自転球体上移動がカオス力学の謂う「カオス」であることを,示唆している。


    「自転球体上移動はカオス」は,「風の流れは予測できない」の類とは違う。
    「風の流れは予測できない」に対応する科学の概念は,「複雑系」とか「創発性 (emergency)」であり,「カオス」ではない。

    「カオス」は,決定論的な単純システムに対して使うことばである。
    「単純で決定論的だが,初期値に対する敏感性のため,実際には挙動を決定できない」が,力学用語「カオス」の意味である。

    自転球体上の移動は,「決定論的な単純システム」である。
    実際,これはつぎのみを条件にしている:
    1. 球面の幾何学
    2. 自転球体の半径と自転角速度
    3. 移動の初期位置と速度 (大きさと方向)
    しかし上のグラフは,初期値の僅かに違う移動がその先で大きく違うものになる可能性を示唆しているのである。