Up 温帯低気圧 ──渦が左巻きの理由 作成: 2022-07-06
更新: 2022-07-14


    温帯低気圧は,発生し,そしてやがて消える。
    消えるのは,流体粘性のためである。


    温帯低気圧はどうして発生するのか?
    気象学は, 「偏西風の蛇行」を温帯低気圧発生の契機とする。

    このときの「偏西風」の意味は,極側の寒気と赤道側の暖気を分ける壁──動く壁──である。
    この壁が蛇行すると,寒気側と暖気側のそれぞれで,つぎのような気流の渦ができる:

    ここまでは,気象学の論についていける。
    しかし,以降はついていけない。
    説明が,流体力学的でないのだ。

    流体力学だと,大気現象は「速度勾配」と「流体粘性」で説明することになる。
    一方気象学は,大気現象を「気圧勾配」で説明しようとする。
    気流の渦の含意 (implication) であるところの「気圧勾配」で,逆に気流の渦を説明しようとする
    それは,無理な論になる。
    色々なものを持ち出し,とってつけたような説明をつくることになる。
    素直でないのである。


    素直に考えるとしよう。
    「偏西風の蛇行が気流の渦をつくる」まではよい。
    ただしこの渦の生成を説明する概念は,「流体粘性」である。

    流体粘性により,寒気側にできる渦は左巻き,暖気側にできる渦は右巻きになる (上図)。


    寒気の左巻き渦は,暖気の下にもぐり込む。
    これの説明概念は,「気体密度」である。

    この左巻き渦は,下が地表なので,収束する空気の出口が上空になる。
    渦が強ければ出口の上昇気流も強くなる。
    上空の空気との密度差は,強い上昇気流を妨げるものとはならない。
    よってそこは「低気圧」になる。
    そして温帯に発生した低気圧だから,「温帯低気圧」というわけである。


    暖気の右巻き渦の方は,どういうことになるか?
    これは,寒気の上に乗っかる。
    説明概念は, 「気体密度」。

    この右巻き渦の場合,収束する空気の出口は,上と下の両方にある。
    下降流は,渦巻の惰性によって,右回転になる。
    もしこれが下の寒気層も巻き込んで地表にまで及んだとしてだが,そのときはこれの地表での拡散も,右回転が保たれる。
    そしてそこは「高気圧」ということになる。

    この高気圧は, 「温帯低気圧」と相対するような顕著な高気圧にはならない。
    これの元である上空の暖気の渦は,収束する空気の出口が上と下の両方にある。
    そして下降流が地表に届くには,下の空気層を巻き込んでいかねばならない。
    よって,高気圧ができても強いものにはならないわけである。


    気象学は,低気圧・高気圧の風の回転方向──北半球では低気圧は左で高気圧は右,南半球はこれの逆──を,「コリオリ力」で説明する。
    しかもその「コリオリ力」は,誤解したコリオリ力である。
    しかし,低気圧・高気圧の風の回転方向は,ここで示したように,「流体粘性」で説明できることである。