Up 上昇流・下降流は渦柱 作成: 2023-01-17
更新: 2023-01-18


    高緯度圏鉛直対流の上昇流・下降流が渦柱であること,そして地上を下に見てそれぞれ左回りと右回りであること,を以下に見ていく。
2023-01-16 JST 21:00 天気図より
    70hPa
(earth.nullschool.net から引用)


    北極を正面に見た図である (東経135度線が縦)。
    特徴的なのは,赤色に表示された高速の流れの輪──偏西風の上層──である。

    輪の中央はダンベルの形をしている,
    これは何なのか?


    200 hPa 面まで下ると,二つの低気圧が高気圧を挟む形が現れる。
    これが「ダンベル」の正体 (構造) である。
    AUPA 200hPa
緑線:80kt 等速線
紫,緑の領域は,それぞれ低気圧と高気圧


    二つの低気圧のうち下の方の低気圧を,下層に追跡してみる。
    AXFE 天気図の 500hPa と 700HPa を合わせると,上昇気流か下降気流か,左回りか右回りか,がわかる。,
    AXFE 500hPa
縦線:気流が左回り
紫の領域は,200hPa の紫領域に対応するものであり,そして縦線領域の中にある


    AXFE 700hPa
縦線:上昇気流
紫の領域は,200hPa の紫領域に対応するものであり,そして縦線領域の中にある


    以上の3つの天気図から,つぎの図が導かれる:

    なぜなら:
    1. 紫に着色した領域は,AXFE 500, 700 hPa 天気図より,左回りの上昇気流。
    2. AUPA 200 hPa 天気図で緑に着色した H は,左回りの2つの渦に挟まれて回る渦ということになる。
      この渦は,右回りであることを以て可能である。
    3. 二つの上昇流渦に挟まれる渦は,下降流渦と合わせて対流を形成していると推理される。
      よってこの渦は,下降流の渦である。



    図の上昇流と下降流を,下層方向に追跡する。
    但し上昇流の方は,2つの上昇流のうち図の下の1個を追跡する。


    70hPa


    250hPa
    下降流が,右回りの渦形をはっきり現す。
    上昇流は,70hPa 面では偏西風と3方で接していたが,ここではそのうちの一辺が偏西風から離れる。


    500hPa
    上昇流が,左回りの渦形をはっきり現す。
    250hPa で上昇流渦の右隣にできた空隙が,左回りの渦形を現す。
    これは,250hPa で「上昇流が偏西風から剥離」と見えたものが,実は「支流の合流」であったことを示す。


    700hPa
    上昇流は,偏西風からさらに離れるとともに,渦形がぼけてくる。
    これも,「支流の合流」と解釈するところである。


    850hPa
    上昇流の渦が見えなくなる。
    これは上昇流が無くなったのではなく,小さいいくつもの上昇流が合わさった状態になっているということである。
    ここまでの上昇流の溯行──上層から下層へ──は,川を河口から上流へ溯行するのとまったく同じである。
    それは無数の支流に分かれていく。


    地上
    850hPa 面まで明瞭に見えていた下昇流の右回り渦は,ここで見えなくなる──右回りの流れががかすかに見える程度。(これにはデータが揃わないという事情もある。)
    下降流の最後は地面との衝突であるから,この一帯は高気圧ということになる。



    earth.nullschool.net の図で上昇流・下降流の追跡をしてきたが,重ねて,高層天気図でやってみる。

    250 hPa 面

    AUPA 250 hPa
緑線:80kt 等速線
紫,緑の領域が,それぞれ上昇流と下降流に対応
上昇流「L」から右に突き出た格好の低気圧は,上昇流の支流


    300 hPa 面

    AUPN 300hPa
緑線:80kt 等速線
紫の領域が上昇流 (本流) に,その上の北緯80度線上に見える「H」が下降流に,それぞれ対応
250hPa 図で上昇流「L」に合流するように見えていた支流が,ここでは明瞭に独立


    500 hPa 面

    AUXN 500hPa
紫,緑の領域が,それぞれ上昇流 (本流) と下降流に対応


    700 hPa 面

    AUPQ 700hPa
紫の領域が,上昇流 (本流) に対応


    850 hPa 面

    AUPQ 850hPa
紫の領域が,上昇流 (本流) に対応
──ただし「本流」といっても,多様な上昇流パターンの寄り合い状態


    高度0

    ASAS