Up 「冬型の気圧配置」とは 作成: 2022-12-24
更新: 2022-12-25


2022-12-22
気象庁地上天気図
earth.nullschool.net から引用:


      『気象ハンドブック』, pp.406,407.
    北海道から中国地方にかけての日本海沿岸は日本の代表的な多雪地帯である。
    なかでも東北から北陸の日本海沿岸の降雪量は多く,このような低緯度の温帯の平野部で大量の降雪がもたらされるのは,世界的に見ても特異な現象である。
    このような日本海沿岸の降雪の発生メカニズムは以下のように理解される。
    冬季,アジア大陸では著しい放射冷却のため,シベリア高気圧が発達し同時に大陸性寒帯気団が形成される。
    この気団は著しい低温と乾燥によって特徴づけられる。
    その最下層は,地表の強い放射冷却のため低温であるうえに,下降流のため厚い逆転層が形成され,安定した成層を持っている。
    日本列島の近海を通過して低気圧が北西太平洋やベーリング海で発達すると,大陸の高気圧との聞に強い気圧傾度をもたらし,このため寒気団は冬の北西季節風として日本海上を吹き渡る。
    日本海は寒気に比べて相対的には高温であり,大陸沿岸でも0°C 以上,とくに対馬暖流の流れる日本列島沿岸では15°C 以上に達する。
    この非常に大きな気温と水温の温度差のため,低温・乾燥・安定であった寒気団が日本海上で変質し,温暖・湿潤化し同時に湿潤断熱減率に近い成層に気団変質する。
    気団変質が及ぶ高さは,海面水温が高いほど,また上空の気温が低いほど高くなり,この高さは積雲対流の達する高さでもある。
    日本海沿岸に達した積雲対流は,日本列島に背骨のように北東から南西にのびている脊梁山脈に吹き当たり,地形性上昇を引き起こす。
    この地形性上昇およびその効果によって引き起こされる積雲対流が重なって,大量の降雪がもたらされる。
    なお,山脈に沿って上昇する気流は湿潤断熱減率 (約 0.7°C /100 m) で気温が下降するが,山脈を越えて下降する場合は乾燥断熱減率 (1.0°C/100 m) の割合で気温が上昇しそのため相対湿度は著しく減少する。
    すなわち一種のフェーン現象であるが,昇温しても元来が寒気であるので,関東地方などでは冷たい乾燥した季節風として感じられる。



  • 引用/参考文献
    • 朝倉正・他[編]『気象ハンドブック』, 朝倉書店, 1995.
  • 引用ウェブサイト