Up 「自然破壊」 要旨 作成: 2015-06-18
更新: 2015-06-18


    珍しい草木は,草木愛好者に売れる。
    草木を愛好するのは,善い事とされている。
    この善事が,山の草木を獲ったり,外国の草木を持ち込むことを商売にする者を生み出す。
    そしてこれらの草木を草花愛好者に届けるのが,園芸業者である。
    元は,草木愛好者の飽くなき欲望である。
    そして,以上のことに是非はない。

    山の草木を獲ると,山の草木は「絶滅危惧種」になり,「レッドリスト」に載るところとなる。
    外国の草木を持ち込むと,これらは「在来種駆逐の脅威となる外来種」になり,「ブルーリスト」に載るところとなる。
    そして,これらリストの作成・管理・運用 (研究・行政) も,商業主義の中にある。
    この世の中は,研究は人の生業(なりわい)であり,行政は人の生業である。

    こうして,「自然破壊」に悪い者はいない。
    善人がいるのみである。
    「自然破壊」を行う者は,破壊を趣味とする者ではない。
    「自然破壊」の当事者は,商業主義である。
    そして,この世の中は商業主義で生きる世の中であるから,「自然破壊」の当事者は人間全般である。

    人は,「自分によかれ」で生きる。
    そして,「自分によかれ」のダイナミクスは,「自然破壊」を形にしていく。
    「自然破壊」の意味は,これ以上でも以下でもない。

    ちなみに,「伝統破壊」もこれと同型である。
    凍えれば,国宝級も焚きつけになる。