Up | 「ヤナギ類の種の同定」について | 作成: 2019-03-27 更新: 2019-03-27 |
その画像は,個体ではなく,種を表しているつもりである。 それは,種の代表を表しているつもりである。 一つの種のなかで,個は多様である。 よって,図鑑の図と見比べて個の種を同定するというのは,実際にはなかなか困難である。 そしてヤナギ類の場合は,《同種のなかにも,個の多様性がある》に加え,
そこで,ヤナギ種の同定は,たいていひどく困難である。 「ヤナギ類の種の同定」と言うと,種がはじめからあるように思ってしまう。 しかし,ヤナギの種の定め方は,ずっとフラフラしている。 これは,ヤナギの種の捉えがもともとあやふやなものだということを示している。 実際,ヤナギの種には,雑種が存在する。( 「種間雑種」) 雑種が存在するとは,異種と見なしてきたものが実際は異種ではなかったということである。 「雑種」の「種」は,「綱・目・科・属・種」の「種」ではなく,「サクランボの品種」「犬の品種」の「品種」に相当する。 生物は,「進化」する。 個は自ずと多様化し,それが生存環境の中で優勢形質と劣勢形質の別になり,劣勢形質のものは衰滅する。 そしてこの分化と淘汰が繰り返されているうちに,もとは同じ種であったものが異種に変わる。 ヤナギの「種」に「雑種」があるということは,拙速に「種」を立てていることになる。 ヤナギは,進化が速い。 品種レベルの差異が簡単に現れる。 この差異を「異種」に見てしまっているわけである。 種は,現前を相手にしているだけでは決められない。 種というものは,共時的にではなく通時的に考えることになる。 即ち,「集合の分割」ではなく,「進化樹」で考えるものになるのである。
バッコヤナギとネコヤナギの間に雑種が存在する
バッコヤナギとネコヤナギは,実は同種
「系統進化樹」で考えたときの「同種」は,推移律が成り立たないのである。 |