Up 「アイヌ民族/先住民族」と "アイヌ" 予算を盗る(いくさ) 作成: 2016-11-14
更新: 2016-11-14


    "アイヌ" 予算は,根拠が要る。
    根拠は,法,そして政策である。
    そこで,"アイヌ" 予算実現を目論む者の取り組みは,"アイヌ" 予算の根拠になる法・政策の実現である。

    "アイヌ" 法・政策を実現する作業は,外堀、内堀と順に埋めていく(いくさ)である。
    この戦をやったのが,鈴木宗男である。
    もちろん,独りの仕事ではない。
    時の内閣官房長官町村信孝との連係プレイがあった。
    その連係プレイには,北海道知事高橋はるみ (はたまた北海道新聞) の姿も見える。
    こうして,いまの "アイヌ" 予算がある。

    「"アイヌ" 予算盗り」の戦の中では,重要な「堀を埋める」に,「アイヌ民族/先住民族」の国会通過があった。
    実際,鈴木宗男にとっての戦果は,「アイヌ民族/先住民族」の方になる。
    鈴木宗男は
      「アイヌ民族の先住民族としての権利を保障するための
        アイヌ基本法の様な、根本的、基本的な法律を制定」
    を目論み,そしてその先に,彼の独特な考え方を以て「北方領土返還」を描いていた。
    ただし,「鈴木宗男事件」により2010年に議員を失職することとなり,それは成らずに終わった。


    外堀、内堀と順に埋めていく作業の最初の足場は,「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2006-06-29 人権理事会, 2007-09-13 総会) である。
    これを足場にして,「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案」を実現する。
    つぎに,「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案」(2008-06-06) を足場にして,「有識者会議」を立ち上げさせる。
    この中に,"アイヌ" を入れる。
    そして,所期のアイヌ政策を「有識者会議」から引き出す。
    これで,所期のアイヌ政策の実現となる。

    足場を一段ずつ積むこの作業は,<しつこさ>の勝負である。
    <相手を根負けさせる>が,この場合の<勝つ>である。

    以下,鈴木宗男の「アイヌ民族/先住民族」と "アイヌ" 予算盗りの(いくさ)見ていく。


    1994〜「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(国連作業部会)

    2005-10-03 
    アイヌ民族の先住権に関する質問主意書
    1. 先住民族に関する日本政府の定義如何。
    2. 日本国が参加している先住民族に言及した国際条約、国際協定にはどのようなものがあるか。すべて列挙されたい。
    3. 2の国際条約、国際協定の中で署名を終えているが、批准していない文書があるか。ある場合は列挙されたい。
    4. アイヌ民族は先住民族かどうか、政府の認識如何。
    5. 「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に対する日本政府の対処方針如何。
    6. アイヌ民族の先住民族としての権利を確立すべきと考えるが、政府の考え如何。
    7. 北方四島ビザなし交流に、アイヌ民族枠を設けるべきと考えるか。政府の見解如何。

    2005-10-31 
    アイヌ民族の先住権に関する再質問主意書

    2006-03-13 
    民族の定義に関する質問主意書

    2006-06-29「先住民族の権利に関する国際連合宣言」( 国連人権理事会採択)

    2007-01-25 
    アイヌ民族の先住民族としての権利に関する質問主意書
     一 二〇〇六年十二月三十日付北海道新聞(以下、「北海道新聞記事」という。)が、
      「国連人権理事会が六月に『先住民族の権利(先住権)に関する国連宣言』を採択し、先住権を認める世界の潮流が強まる中、日本政府は今月二十日に提出した国際人権(自由権)規約に関する報告でも、アイヌ民族については、なお先住民族との記述を避けた。国際的には『アイヌ民族は先住民族』との見方が定着しているが、政府は、認知すれば、アイヌ民族の土地の扱いなど、先住権の問題が生じるため、姿勢を変えようとしていない。」
    と報道していることを外務省は承知しているか。
     二 「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の採択に際して政府がとった立場及び認識を明らかにされたい。
     三 政府が二〇〇六年十二月二十日に提出した国際人権(自由権)規約に関する報告書(以下、「報告書」という。)について、アイヌ民族についてはどのような記述がなされているか。当該部分のポイントを正確に示されたい。
     四 「報告書」を作成した官庁と部局課名を明らかにされたい。
     五 「報告書」の起案日と決裁終了日を明らかにされたい。
     六 「報告書」は外務省欧州局ロシア課との合議を行った上で作成されたものか。
     七 北海道新聞記事」において、
      「『実際に行った施策を書くもので、取り組んでいないことは書かない』外務省人権人道課の担当者は規約に関する報告について、そう話した。」
    との記述があることを外務省は承知しているか。
     八 七の発言を行った外務省職員がいるか。いるならば当該職員の官職氏名を明らかにされたい。
     九 七の発言はどのような法令上の根拠に基づいてなされたものか。明確な答弁を求める。

    2007-09-13「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(国連総会採択)

    2007-09-14
    国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する質問主意書
     一 二〇〇七年九月十三日、国連総会の本会議で、先住民族の権利に関する国連宣言(以下、「先住民族宣言」という。)が賛成多数で採択されたと承知するが、このことを政府は承知しているか。
     二 「先住民族宣言」の内容につき、説明されたい。
     三 「先住民族宣言」に対する政府の評価如何。
     四 我が国において、「先住民族宣言」にある「先住民族」に該当する民族はどの民族を指すか。政府の見解如何。
     五 日本政府は一の国連総会において、「先住民族宣言」に賛成、反対どちらの意を表したか。
     六 アイヌ民族が我が国における先住民族であることは明白であると思料するが、政府の見解如何。
     七 五で、賛成の意を表したのならば、「先住民族宣言」が謳う先住民族の政治的自決権、土地・領土・資源の権利等を、アイヌ民族に対して適用すべきであると思料するが、政府の見解如何。

    2007-10-02
    国連における先住民族の権利宣言を受けての我が国政府の取り組みに関する質問主意書

    2007-10-09
    国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する第三回質問主意書

    2007-12-04
    国連における先住民族の権利宣言を受けての我が国政府の対応に関する質問主意書

    2008-03-04
    先住民族の定義及びアイヌ民族の先住民族としての権利確立に向けた政府の取り組みに関する質問主意書

    2008-03-14
    先住民族の定義及びアイヌ民族の先住民族としての権利確立に向けた政府の取り組みに関する再質問主意書

    2008-05-12
    先住民族の定義及びアイヌ民族の先住民族としての権利確立に向けた政府の取り組みに関する第三回質問主意書

    町村官房長官 → 高橋はるみ北海道知事「議論の場」発言

    2008-06-05
    アイヌ民族の先住民族としての権利確立を審議する有識者懇談会設置に関する質問主意書
       超党派の衆参国会議員によりつくられた、アイヌ民族を先住民族として認め、権利の確立を考える議員連盟の活動等を受け、アイヌ民族を先住民族として認めることを政府に求める国会決議が本年六月六日に衆参両議院の本会議で議決される見通しであるが、それに関連し、同月四日、町村官房長官は「国会決議にはきちんと対応していく。議論の場をぜひ作りたい。権威のある方に集まってもらい、要請を実現できるようにしたい」との発言(以下、「町村発言」という。)を、高橋はるみ北海道知事からアイヌ民族の権利確立に関する要望を受けた際に行ったと承知する。右を踏まえ、以下質問する。
     一 「町村発言」は政府の公式見解であると理解して良いか。
     二 「町村発言」の中にある「議論の場をぜひ作りたい」とは、平成八年の「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」に替わる新たな有識者懇談会(以下、「有識者懇」という。)を政府として設置したいと考えていることと理解して良いか。確認を求める。
     三 前回の「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」には、アイヌ民族の人物が入っていなかった。今回政府が「有識者懇」の設置を考えているのなら、必ずそのメンバーにアイヌ民族の人物を複数名入れるべきであると考えるが、政府の見解如何。

    2008-06-06「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案」

    2008-06-06
    アイヌ民族を先住民族とすることを政府に求める国会決議を受けての政府の取り組み等に関する質問主意書
      「政府答弁書」(内閣衆質一六九第三七三号)を踏まえ、以下質問する。
     一 本年六月六日の衆参両議院の本会議において、アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議(以下、「国会決議」という。)が議決されたが、「国会決議」の内容を政府は承知しているか。
     二 「国会決議」に対する政府の評価如何。
     三 これまでの答弁書(例えば内閣衆質一六三第七号、五七号、内閣衆質一六六第四〇号、内閣衆質一六八第二四号、五三号、一〇二号、内閣衆質一六九第六三号、一〇六号、一三八号、一八二号、三七三号等)で政府は、「先住民族」の定義は国際的に確立しておらず、アイヌ民族が我が国の先住民族であるかどうかについても判断を下せない旨の答弁をしてきている。しかしその一方で、本年六月六日の衆参両議院の本会議において町村信孝内閣官房長官は「政府としては独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族との認識のもと、国連宣言を参照しつつ、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組む」との発言をしているが、右は「国会決議」を受けて、アイヌ民族が我が国の先住民族であると政府が認めたものと受け止めて良いか。確認を求める。
     四 三で、政府として、アイヌ民族が我が国の先住民族であると認めたのならば、三で挙げたこれまでの答弁書を改めるべきではないか。
     五 「国会決議」を受け、アイヌ民族を先住民族として認め、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の展開を図る上での福田康夫内閣総理大臣の決意を披瀝されたい。

    2008-06-06 福田康夫内閣総理大臣の「有識者懇談会」発言
    2008-06-06 町村信孝内閣官房長官の「必要なときに意見をいただく」発言


    2008-06-09
    アイヌ民族の先住民族としての権利について審議する有識者懇談会に対する内閣官房長官の見解等に関する質問主意書
       本年六月六日の衆参両議院の本会議において、アイヌ民族が我が国の先住民族であることを認め、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組むことを政府に求める国会決議(以下、「国会決議」という。)が全会一致で議決された。右を踏まえ、以下質問する。
     一 「国会決議」の議決がなされた本年六月六日、福田康夫内閣総理大臣は首相官邸で記者団に対し、「今日の決議、昨年の国連宣言の意義をよく考えて有識者懇談会で議論してほしい」と、平成八年の「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」に続く新たな有識者懇談会(以下、「有識者懇」という。)を設置し、そこで徹底した議論がなされることを期待する旨のコメントをしている。その「有識者懇」に関し、町村信孝内閣官房長官は同日に、「有識者懇」へのアイヌ民族の参加については「必要なときに意見をいただく」と述べ、アイヌ民族を「有識者懇」のメンバーに加えることに消極的であるともとれる発言(以下、「町村発言」という。)をしたと報じられているが、「町村発言」は政府の公式見解か。「町村発言」にある様に、政府として「有識者懇」のメンバーにアイヌ民族を入れる考えは有していないのか。
     二 「有識者懇」のメンバー選定は、町村長官の専管事項か。
     三 「有識者懇」のメンバーは総計何人を予定しているか。
     四 平成八年の「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」には、アイヌ民族はメンバーとして参加していなかった。今回「国会決議」という、我が国の歴史上画期的な決議が衆参両議院においてなされ、政府もアイヌ民族を我が国の先住民族であるとの認識を初めて示した。こうしたことからも、「有識者懇」にはアイヌ民族の代表を必ずメンバーとして加えるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

    2008-06-18
    アイヌ民族の先住民族としての権利について審議する有識者懇談会に対する内閣官房長官の見解等に関する再質問主意書

    2008-07-01 アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会設置が決定

    2008-09-25
    政府によるアイヌ民族政策の展開等に関する質問主意書

    2008-10-03
    ビザなし交流で日本を訪問しているロシア人訪問団長による北方四島をアイヌ民族の独立国にするという提案に対する政府の認識等に関する質問主意書

    2008-10-09
    千島列島におけるアイヌ民族の先住性に関する質問主意書
     三 本年六月六日、衆参両議院の本会議においてアイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議が全会一致で議決され、政府はアイヌ民族が「日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族」であるとしている。また、同年十月八日の衆議院予算委員会において中曽根弘文外務大臣は右にある政府見解と同様の見解を示した上で、「我が国の北部領土周辺ということで、それには北方四島は入ります。」との答弁をし、アイヌ民族が北方四島の先住民族であるとの認識を示している。では政府として、アイヌ民族は千島列島の先住民族であるとの認識を有しているか。
     四 政府は、アイヌ民族がサハリンの先住民族であるとの認識を有しているか。

    2009-03-13
    アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会における議論等に関する質問主意書
       昨年六月六日、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議(以下、「決議」という。)がなされ、アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会(以下、「有識者懇」という。)が発足した。右を踏まえ、質問する。
     一 「有識者懇」では、現在まで五度の懇談会、二度の現地視察が行われてきていると承知するが、これまでの「有識者懇」において、どの様な議論の積み重ねがなされてきたと政府は認識しているか。また、これまでの議論に対する政府の評価如何。
     二 「決議」が議決された後の、昨年六月六日における当時の町村信孝内閣官房長官の所信(以下、「所信」という。)に「我が国が近代化する過程において、法的にはひとしく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として改めてこれを厳粛に受けとめたいと思います。」とある様に、アイヌ民族が我が国社会において様々な差別を受け、結果として貧窮を余儀なくされてきたことは紛れもない事実であると考える。「有識者懇」に対しては、これまで北海道内外のアイヌ民族や市民団体等、様々なグループによりアイヌ民族の権利確立に向けた様々な意見が出されていると思料するが、例えばその中には、右で触れた点について政府に謝罪を求める意見や、これまでのアイヌ民族に対する差別の実態を審議する機関の設置を求める意見もあると承知する。「有識者懇」においては、本年七月を目処に、政府に対して最終報告書(以下、「報告書」という。)を提出すべく、現在様々な議論を行っているものと考えるが、政府として、「有識者懇」において右の意見が議論の対象とされているか、または「報告書」を政府に提出する際に、右の意見を踏まえた報告がなされるかどうか把握しているか。
     三 北海道外に居住するアイヌ民族につき、人数や生活状況等、その詳細を政府は把握しているか。
     四 「所信」に「政府としては、アイヌの人々が日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族であるとの認識のもとに、先住民族の権利に関する国際連合宣言における関連条項を参照しつつ、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組む所存でございます。」とある様に、「有識者懇」はじめ我が国におけるアイヌ民族政策に係る議論は、主に北海道内に居住するアイヌ民族を主な対象としたものであったと思料するが、北海道外に居住するアイヌ民族に対して、政府としてどの様な政策を展開する考えでいるのか説明されたい。
     五 「報告書」の内容は再来年度予算案の編成において十分に反映されるか。

    2009-06-10
    アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会における議論等に関する再質問主意書
     三 アイヌ民族の先住民族としての権利確立を図るには、二で述べた予算措置や審議機関設置に加え、アイヌ民族の先住民族としての権利を保障するためのアイヌ基本法の様な、根本的、基本的な法律を制定することが何より肝要であると考えるが、右に対する現時点での政府の見解を示されたい。

    (ここまで)

    なお,「アイヌ政策」の以降の流れは,つぎのようになっている:
      2009-07「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」報告書提出
      2009-12「アイヌ政策推進会議」発足
      2010-03「民族共生の象徴となる空間」「北海道外アイヌの生活実態調査」両作業部会設置
      2011-06 両作業部会から報告書提出
      2011-08「政策推進作業部会」設置
      2012-06『国民理解を促進するための活動(戦略的広報)について』
      2014-06『アイヌ文化の復興等を促進するための「民族共生の象徴となる空間」の整備及び管理運営に関する基本方針について』