Up 乱獲化 作成: 2016-11-27
更新: 2016-12-02


    商品経済に乗った狩猟・漁は,《多く獲れるほどよい》になる。
    これは,狩猟・漁が「乱獲」になるということである。

    乱獲の様が覗い知れる記述を,以下に引く。

    最上徳内著・須藤十郎編『蝦夷草紙』, MBC21/東京経済, 1994
     
    p.66
     天明六丙午 [1786] 年 蝦夷国界見分の御用に附て 江戸本町苫(屋)久兵衛と言(う) 者の手船神通丸沖船頭太兵衛、権命に因て松前に着船し (それ)より東地に赴く、
    松前家より東蝦夷地の海路を(よく)知得たる者を(せん)して 松前唐津内町治良兵衛と言(う)者を先導とす、
    東地にシリへツ〔ニシベツ〕と言(う)大河に至り
    此河は年々龝 [秋] の頃彼岸に至れば 源へ鮭魚(おびただしく)しく溯るなり、
    予其役なれば渠等(かれら)に命じて同年八月十七日午時(ひるどき)より網を下すに鮭三十(ひき)を得たり、
    又十八日卯の時に曳きたる網に大に掛りたる中の(あしき)を去り(よき)(えらび)て九十七束あり、 一束とは二十疋を言(う) (すなわ)(ち) 千九百四十疋を得たり、
    (あしき)を去るとは(すぐれ)て大なるを去り中なるを撰て良とす、船積にする故なり、
    大船にては(およそ)五万疋以上を積て松前家の定例とする事、古今同じ、
    此類の物 日数凡五(〜)七日の中に採たり
    此漁業の夥しき故ならずや。


    Bird, Isabella (1831-1904)
    Unbeaten Tracks in Japan. 1880
    金坂清則 訳注 『完訳 日本奥地紀行3 (北海道・アイヌの世界)』, 平凡社, 2012.
     
    p.23  蝦夷の漁業にはすばらしいものがあり、[太平洋の]対岸にあるオレゴン[州]沿岸部の漁業に匹敵するが、漁獲高の10〜25パーセントというあまりに重い税がかけられる。
    特に重要な魚は鮭かペシユダメールで、ほかに烏賊(いか)、昆布と〈海鼠(ペシユダメール) [なまこ]〉も重要な輸[移]出品になっている。 南岸[太平洋岸]には多くの漁場があるが、最も重要なものは北岸[日本海岸] の石狩にあり、新しい道都である札幌に近い。
    ここの鮭漁は日本の見ものの一つになっている。
    地引き網には長さが4000フィート[=1200メートル]にもなるものがあり、これだと70人もの人でひかねばならない。
    対になった網を日に三回ひくと二万(ぴき)もの鮭が獲れることもあり、塩漬けされた一尾の重さは平均で10ポンド[4.5キロ]にもなる。
    石狩川の漁場だけで年間五万ドル[五万円]の収益がある。
    蝦夷の魚は日本の内地にくまなく搬送されるだけでなく、中国にまで輸出される。
    漁業にはこの島[北海道]の先住民であるアイヌが多数雇われているが、漁期には南部や羽後国[秋田県]からたいへんな数の出稼ぎ人が蝦夷に出かけて行く。 p.26
     野生動物と猟鳥類は非常に多く、内陸部の人が入り込めない森に生息している。 函館の市場では、雷鳥、野兎、(うずら)、田(しぎ)、小鴨、鹿、山鴫、真鴨や熊などを、季節季節に手頃な値段で買える。
    熊の毛皮と鹿の皮は重要な輸出品の一つでもある。