「同化」は,どのように受けとめられていたか。
終戦直後の時期,先鋭的"アイヌ" を引き寄せた『アイヌ新聞』(1946-1947) で, 「同化」の語がどのような文脈で出てくるか,見るとしよう:
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「アイヌ新聞」
小川正人・山田伸一編『アイヌ民族 近代の記録』, 草風館, 1998. pp.234-276
pp.262,263
(第8号, 1946-08-01)
スイング少将会見記 本社主筆 高橋真
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スイング閣下は私に対し「アイヌの人々」や其の現況、熊の話、鳥の話等も尋ねられたので「アイヌは滅亡する民族でなく、日本内地人に同化してゐるものである事」や、熊は遠い奥山でなければゐないといふ事等も説明し、また北海道の現況、思想、社会其の他の問題等も若干述べた処、一々うなづかれて聴いて下さったのは恐縮の至りであった。
p.270
(第11号, 1947-01-31)
【社説】 "同化" かそれとも滅亡か アイヌ同族の奮起要望!!
一部アイヌ学者の聞には依然として「アイヌは滅亡しゆく民族」だという。
然しこれは誤りである。
アイヌの純粋な者は約一万七千名だが和人との混血した者を合すれば約五万を算する事が出来ると称し得る。
斯くの如く和人に同化しゆくアイヌの多い事は一面アイヌの一大発展を示すものといわねばならぬが 保守的なアイヌ老人等には「シャモ(和人)化したアイヌ達はアイヌプリ(風習)を忘れ体が弱くなり精神も良くなくなった」と歎いている。
和人と混血した者は頭が発達し、きりょうよく社会的にも相当の人材が輩出している際にわれわれは「アイヌが同化する事がよいか」それとも滅亡をいかに防止すべきを考究し、アイヌ娘が和人との結婚を好んでいる傾向とを思ひ合せ、以て新日本の建設に挺身せねばならぬ。
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