Up 「これがチセ?」 作成: 2020-07-13
更新: 2020-07-13


    ウポポイの「チセ」は,つぎのようである:
朝日新聞 DIGITAL, 2020-07-12,「ウポポイ、きょう開業」から引用

    これは,つぎのように建てられた:
https://www.facebook.com/upopoy/videos/チセ建設02柱建方桁梁作業
/2923723710976516/
 から引用
https://ainu-upopoy.jp/program/チセ建築公開/ から引用

    そしてつぎが,「チセ内部」である:
https://ainu-upopoy.jp/program/チセ内部見学/ から引用


    さて,アイヌのチセ (家) は,つぎのようなものである:
村上島之允 (1809),「七 (居家の部)」から引用
    庇は,入口および窓の上辺の高さになる。

    この家は,つぎのように建てられる:
同上から引用
    屋根の枠組をつくり,これを四隅の柱に乗っけるわけである。
    四隅の柱は,内側に傾斜している。
    これは,家を倒れ難くする仕組みである。。
    また,この構造によりチセの側面にも傾斜がつく。

    そしてチセの内部は,つぎのようなものである:
村上島之允 (1800), p.57

    アイヌの家は,いたって粗末である。
    しかしその「粗末」は,これがアイヌの生活・生業の理に適っているということである。
村上島之允 (1800), p.55



    ウポポイの「チセ」とアイヌのチセを比較して言えることは,ウポポイはテーマパークとしてつくられたということである。
    翻って,「アイヌ文化はそのままでは観光にならない」の計算があったわけである。

    しかしこれは,ウポポイの入場者に対しては,騙しになる。
    ウポポイの入場者は,「これがアイヌ文化だ」と思うことになるからである。


    アイヌは,その実像においてリスペクトされる。
    ウポポイは,確信犯的にアイヌの虚像をつくることになるところである。
    この道理,よくよく吟味すべし。
菅江真澄 (1789), p.392
https://ainu-upopoy.jp/


    引用文献
    • 村上島之允 (1800) :『蝦夷島奇観』
      • 佐々木利和, 谷沢尚一 [注記,解説]『蝦夷島奇観』, 雄峰社, 1982
    • 村上島之允 (1809) :『蝦夷生計図説』
    • 菅江真澄 (1789) :『蝦夷喧辭辨 (えみしのさへき)』